RPAを全社に広げる際は、ソフトロボ開発の体制作りが鍵になる。社内研修によって開発者を増やすのが常道だが、専門部署を作る手もある。適用先はオフィスのPC作業だけでなく、工場やアナログ作業にまで拡大したい。

 日本企業におけるRPAの導入は、現場の業務担当者がソフトロボを開発し、自身の周りのPC作業を自動化するボトムアップのアプローチが一般的だ。そうした取り組みを全社に広げるのであれば、ソフトロボの開発者を増やす必要が生じる。

「養成学校」で作り手400人

 わずか1年でソフトロボの作り手を400人育成したのがLIXILだ。同社は2017年に、ある業務部門の担当者がRPAを導入してPC作業を自動化するのに成功した。それを受けて2018年春から全社にRPAを広げ始めた。

 作り手は独自の研修体制で増やした。RPAを推進するIT部門の担当者が教材を作成し、社員に向けて毎月2回、2日間の研修を開いた。各教材はLIXILの社内システムを操作することを前提に、RPAツール「SynchRoid」の操作手順を丁寧に解説する内容だ。ソフトロボにExcelやWebブラウザーを操作させる方法や、エラーが発生したときの対処法など多岐にわたる。「業務担当者がRPAで自動化したい作業が出てきたときに、すぐにやり方が分かるよう作った」とLIXILの中村宏情報システム本部システム企画推進Gグループリーダーは話す。

図 LIXILにおけるRPAの教育体制
「開発者養成学校」を社内に設立
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 研修の後は演習と試験だ。演習では受講者は部署にいったん戻り、学んだ内容を生かして部署のPC作業を実際に自動化してみる。この後、本格的に開発を進めたいと希望する業務担当者は試験を受ける。

 試験ではRPAの開発のやり方に加えて、情報セキュリティーやコンプライアンスに関する知識も問う。同社は「社内の個人情報を大量にダウンロードしてはならない」「他の業務担当者の仕事に支障をきたすほど、ソフトロボが社内システムに頻繁にアクセスしてはならない」といったRPAの禁止行為も定めている。「内部統制や情報セキュリティーの観点でチェックし、問題のあるソフトロボの開発を未然に防ぐ」(中村グループリーダー)。

 この試験をパスすると、本格的なRPAの開発ができるようになる。LIXILはさらにRPAに詳しい情報システム部門の担当者が業務担当者の疑問にマンツーマンで答える開発相談所や、Q&Aサイトなどを設けて、現場での開発を支援している。

 これまでに約400人の業務担当者が試験をパスしてRPA開発を進めている。既に250台のソフトロボを稼働させている。

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