最近、耳にする機会が増えた「イノベーション」。日本では、「技術革新」と訳されてきたが、本来の意味は、工学に限らずアイデア、組織、制度など「新しい価値を創造する仕組み」全般を指す。
創業以来一貫してモノづくりを通して新たな価値を創造してきたオムロンで、イノベーションに取り組み続けてきた竹林一氏が、「製造業がイノベーションをデザインするための視点」を語る。

最近、耳にする機会が増えた「イノベーション」。日本では、「技術革新」と訳されてきたが、本来の意味は、工学に限らずアイデア、組織、制度など「新しい価値を創造する仕組み」全般を指す。
創業以来一貫してモノづくりを通して新たな価値を創造してきたオムロンで、イノベーションに取り組み続けてきた竹林一氏が、「製造業がイノベーションをデザインするための視点」を語る。
企業がイノベーションを起こすために育成すべき人材は「起承転結」に分類でき、「起承」と「転結」に大別できる。求められる性格や資質が異なる両者をどう活用していくかは、ビジネスマネジメントに携わるものの課題といえる。
イノベーションはビジネスを活性化し、企業に持続的な成長をもたらす。そのイノベーションを加速させるために欠かせないのが多彩な人材であり、その人材を育成する考え方が重要である。今回は、人材を「起承転結」の4タイプに分け、それぞれの特徴や果たす役割を説明する。
世界観をデザインするとは、事業の新たな「軸」を見いだすことにほかならない。そのために必要な取り組みとは、どのようなものだろうか。今回は、世界観をデザインするためのポイントをまとめてみた。
2009年に私は、EMS(生産受託)を主事業とするグループ会社の代表取締役社長に指名された。事業の立て直しにまい進する。赴任が決まってEMS事業の実態を調べてみると、なんとEMS事業は製造業ではなく、サービス業であることが分かってきた。
IoTの普及により、身の回りの様々な機器がセンサーとの通信機能を備えるようになった。オムロンは新たな「事業の軸」として、センサーが集める膨大な情報(センシングデータ)に着目した。企業や業界の枠を越えて情報を自由に活用できる「センシングデータの流通市場」が立ち上がれば、そこに大きなマーケットを創出で…
事業の軸となる「世界観」のデザインは、時代によって大きく変わる。創業当時から「社会的課題の解決」を標榜してハードウエアを中心にソリューションを提供してきたオムロンとしても、インターネットで誰もがどこでも簡単に情報を入手できる今、ネットワークとの連携なしに新たな事業への展望は開けない。
ビジネスイノベーションを起こすための第一歩は、新たな「事業の軸」を明確化して、世界観をデザインすることだ。事業が順調に推移しているときこそ、次なる世界観をデザインする絶好の機会である。
~Willを生み出す「やりたいこと100連発」~
顧客との関係を深めていくと、新しい価値を共に創造することで自社にも顧客にも大きな利益をもたらせるようになる。このような「共創」こそがオープンイノベーションの本質であり、成功の鍵は自社と顧客が共通の世界観を持てるかどうかにかかっている。
IoTに代表される「技術の進化」と新しい発想による「価値の進化」が、価値創造=イノベーションを生み出す。欧米では老舗の重厚長大産業から新興IT企業までが新たな価値の創造に取り組んでいる。その価値創造の原点は、伝統的製造業の「QCD(品質、コスト、納期)」に4つ目の軸「S(仕組み)」を加えた新たな「…
「良いモノをより安く」製造するだけでは、メーカーは生き残れない。今、求められているのはイノベーションだ。ただし、技術を革新するだけではイノベーションは起こせない。大切なのは、「技術の進化」と「価値の進化」を両立させて、新たな価値を創造することだ。