IoTに代表される「技術の進化」と新しい発想による「価値の進化」が、価値創造=イノベーションを生み出す。欧米では老舗の重厚長大産業から新興IT企業までが新たな価値の創造に取り組んでいる。その価値創造の原点は、伝統的製造業の「QCD(品質、コスト、納期)」に4つ目の軸「S(仕組み)」を加えた新たな「顧客満足」にある。顧客との関係を深化させていくことで生まれる「共創型」のビジネスモデルが、新たな価値創造のカギとなる。

「顧客価値の最大化を売っている」と言い切るGE

 IoTやスマートフォンの普及が契機となり、欧米では価値創造の新しい動きが始まっている。宿泊施設を紹介するAirbnbやドライバーと利用者を結びつけるUberなどのマッチング&シェアリングモデルは、IoT時代ならではの新ビジネス創造に成功した好例だ。

 製造業でもIoTを積極的に活用している企業は多い。例えば、世界最大シェアの航空機用エンジンメーカーを傘下に持つ米国のゼネラル・エレクトリック(GE)だ。

 GEはエンジンを航空会社に販売するのではなく、エンジンの実使用量に応じて対価を受け取る「稼働課金型」に舵を切った。エンジンに多くのセンサーを搭載し、使用量を正確に把握できるIoT技術の進化があってこそ確立したビジネスモデルだ。

 この方式だと、航空会社には初期投資を抑えられるメリットがある。GEはビッグデータ解析やAI(人工知能)を駆使してエンジンの初期トラブルを防ぎ、最適なメンテナンス期間を算出できる。データ量が多くなるほど予防保全は確実になり、対価がゼロとなってしまう故障時間も減らせる。このあたりは、工場のライン維持とノウハウは変わらない。

 だが、このビジネスモデルのポイントはそこではない。飛行中のエンジン稼働状況に天候や偏西風などの要素を付加して分析すると、どういう航路を飛べば最も燃料コストを抑えられるかが分かるようになる。GEは、この分析結果を新たな価値として航空会社に提供している。

 つまり、最適な飛行ルートという新たに生まれた価値から燃料コストを削減し、その削減費用をGEと航空会社で「シェアしていく」ビジネスモデルだ。同社は風力発電や鉄道車両などにも同様のビジネスモデルを取り入れて展開している。まさに「目から鱗(うろこ)」の発想、「エンジンではなく顧客価値の最大化を売っている」と言わしめる理由である。

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