顧客との関係を深めていくと、新しい価値を共に創造することで自社にも顧客にも大きな利益をもたらせるようになる。このような「共創」こそがオープンイノベーションの本質であり、成功の鍵は自社と顧客が共通の世界観を持てるかどうかにかかっている。双方が確固としたWill(意志)を持って「共感」できれば、オープンイノベーションが結実する可能性も高められる。

オープンイノベーションの事例:大阪ガスのエネファーム

 オープンイノベーションとは、企業の内外のアイデアを組み合わせて、革新的で新しい価値を生み出すことだ。オープンイノベーションに熱心な日本企業を挙げるとき、大阪ガスの名は外せない。その代表的な事例が、都市ガスから電気と熱を生み出す家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」の世界最高発電効率を達成した、家庭用固体酸化物形燃料電池「エネファームtype S」の共同開発だ。

 その仕掛け人で、当時は大阪ガスのオープン・イノベーション室長を務めていた松本毅氏(現:ナインシグマ・アジアパシフィック ヴァイスプレジデント)に、「なぜオープンイノベーションをやったのか」という問いをぶつけたことがある。返ってきた答えは「このままでは会社は危ない」という実に単純なものだった。

 2000年代にいわゆる「オール電化」ブームが起こり、「ガスより電気がオシャレ」とガス機器がどんどんIHクッキングヒータ等電化製品に置き換えられ、多くのガス会社が危機感を募らせていた。

 そのころに、より高効率のエネファームの開発をオープンイノベーションによって推進したのが松本氏だ。しかし当時、大阪ガスの技術だけでは実用化に時間を要するため、ファインセラミックで高い技術力を持つ京セラや、システム化技術を有するトヨタ自動車/アイシン精機を巻き込んで、オープンイノベーションを仕掛けた。さらに4社では解決が難しい課題を外部技術の活用によって解決して、世界最高の発電効率達成に大きく貢献した。

 当初「なぜ社内の技術者でできないのか」などの意見がある中、松本氏の仕事はまず社内で理解を求めるところから始まったという。やがてこのオープンイノベーションの効果が認められて、今日まで同社は、オープンイノベーションのトップランナーの地位を維持している。

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