前回は、チェンジマネジメントに対する投資を継続して受けるために、「お客様の声」を獲得し続けることの重要性を話しました。
アドビは現在、お客様の声を「Voice of Customer(VoC)」と呼ぶようになり、最も重視すべき定性的な評価指標として扱っています。もう一つ、アドビには「アダプションレート(Adoption Rate)」と呼ぶ定量的指標があります。この二つの指標をグローバルで共通管理しています。

アダプションレートとは、一般に製品やサービスのお客様側での利用状況を指します。サブスクリプション型で提供しているアプリケーションの場合は、提供者がお客様側での利用状況を各機能レベルまで細かく把握して、サービスをお客様が使いやすいように改善しています。
アダプションレートの個々のスコアが低いとは、お客様側で各機能の活用度合いが低いという意味です。お客様に機能を活用するニーズがない場合や、お客様に機能が知られていない場合などで発生しますが、これではお客様に価値を提供できていないことになります。
サブスクリプション型の製品提供に切り替えたアドビでも、このアダプションスコアを把握しています。データ取得の方法やデータ評価の手法は省略しますが、ダッシュボードで全世界の状況がつぶさに分かるようになっています。
スコアが高いお客様には製品の更新だけでなく、積極的にアップセル・クロスセルの提案をしていきます。スコアが低いお客様とは機能の利用状況を共有し、機能の活用で得られる価値を実感できるトレーニングやコンサルティングサービスを提案していきます。