私は今、英国ロンドンに向かう飛行機の中で、ベルリオーズの「幻想交響曲」の緊張感ある第四楽章「断頭台への行進」を聴き終えました。20年以上前から何度も聴いてきたこの曲の余韻に浸りながら、チェンジマネジメントを推進していた2015年当時の手帳を読み返しています。

 そして「どうしてベルリオーズは、第四楽章に『断頭台への行進』という副題を付けたのだろうか?」「この副題によって、聴く人は曲のイメージをどれだけ増幅させ、どれだけ理解をしたのか?」「理解が進んだのではなく、副題から立てた自分なりの仮説から、耳から入った音を脳が勝手に解釈したのかもしれない」という思索をめぐらせました。

 今回は「バイアス」をテーマに話をします。私はバイアスを「自分勝手な仮説による、自分独自の理解」と解釈しています。違う表現をするなら、まさに「幻想」となるでしょう。そしてこのバイアスは、人の意思決定をゆがませてしまい、チェンジモンスターを生み出してしまうことさえあります。

「数字バイアス」よりも厄介な「近親バイアス」

 バイアスに関する論考は数多くありますが、私は特に「数字バイアス」と「近親バイアス」の二つに注意を払っています。前者は自分にとってメリットが大きいと判断した事柄について、リスクを軽く見る傾向があるということです。後者は、自分と似た者を良いものとして捉える傾向があるということです。

 そしてチェンジモンスターとの戦いで経験したもう一つのバイアスが「経験バイアス」の中にある「成功・失敗体験バイアス」でした。経験バイアスの「確証バイアス」や「直近バイアス」などの解説は省略し、成功・失敗体験バイアスについては後で述べます。

 まず過去の実績や未来の目標から生まれる数字バイアスについて考えましょう。これから逃れるには、確固たるデータをそろえたり、他の人の意見をうまく取り入れたりするといった行動が求められます。

 例えば、資金の流れ(ファイナンス)を管理する場合は、この分野のプロフェッショナルをパートナーとして獲得することが有効になります。プロフェッショナルがデータをそろえ、ここから意見を得られるため、数字バイアスから逃れられるかもしれません。

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