クラウドベンダー各社のサービスの拡充により、SAP ERPやVMwareなどオンプレミス環境の基幹系システムで利用されているソフトウエアを、クラウドへ移行しやすくなっている。一方で対応に苦慮しているのが、基幹系システムでは導入数が多い「Oracle Database(DB)」向けのサービス提供だ。米オラクルのライセンス規定などにより、Oracle DBをクラウドに移行する際の考え方が複雑だったり、載せられなかったりするからだ。

 オラクルは、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureを「承認されたクラウド環境」として、Oracle DBの動作環境と認めている。ところがオラクルは2017年1月、AWSとMicrosoft Azure上でOralce DBを利用する場合のライセンスのポリシーを変更。ユーザーによってはAWSやAzure上でOracle DBを利用する際に、従来に比べてライセンス費用が最大で2倍になるケースがあった。2017年1月以前にOracle DBをAWSやAzureに移行していた企業では、いきなり実際に2倍の支払いになった事例もあったという。

 一方でSAP ERPのユーザーの中には、ライセンスポリシーの変更を受けずにOracle DBをクラウドで利用できるケースもある。SAP ERPの組み込み型ライセンスでOracle DBを購入した場合だ。このケースでは、「購入時のライセンス条件が異なることから、ライセンスポリシーの変更を受けるものの影響がなかった」(日本オラクル)という。

 こうした複雑さもあり、ユーザー企業にとってOracle DBのクラウド移行は厄介なプロジェクトになりがちだ。そこで各クラウドベンダーはOracle DBのクラウド移行の受け皿になろうと、クラウド移行にかかわる手間を省く様々なサービスを提供している。オンプレミス環境のライセンスをそのまま持ち込めるサービスや、従量課金制のサービス、そしてOracle DBの互換DBの提供など、その内容は様々だ。ただしSAP ERPやVMwareの受け皿とは異なり、苦肉の策ともいえる方法でサービスを提供しているクラウドベンダーが多い。

Oracle DBのクラウド化が難しい主な理由
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IBMとグーグルは新たな方法を生み出す

 Oracle DBの受け皿として2018年7月に、新サービス「IBM Cloud for Oracle Solutions(C for Oracle)」の提供を始めたのが日本IBMだ。Oracle DBのライセンスはユーザー企業が持ち込み、IBMはOSとインフラ、そして運用をサービスとして提供する。日本国内ではAIXのみ提供しているが、グローバルではIA向けのC for Oracleも提供済みだ。

 「当社のサービスはオラクルのライセンスポリシーを守りながら、クラウドサービスに近い形で提供するのがポイント」と日本IBMの後藤秦剛 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部クラウド・サービス事業部テクニカル・セールス アドバイザリー アーキテクトは話す。

 IBMはC for Oracleを提供する前から、オンプレミス環境のOracle DBをクラウドに近い環境に置くサービスを提供してきた。Oracle DBが稼働しているサーバーをIBM Cloudの近くに置くコロケーションサービスを提案したり、オンプレミス環境と同様の構成のベアメタルを用意したりといった具合だ。

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