WANの通信利用料がビジネスを圧迫

 クラウドの普及にともない、企業内のシステム利用形態も様変わりした。多様な業務アプリケーションやデータベースをデータセンターに集約し、複数拠点からWAN経由でアクセスする構成が一般的になりつつある。これにより、ユーザーは使うデバイスによらず同じアプリケーションを使って仕事が行える。またIT管理者側も、システムの運用負荷を抑えられるほか、サービス品質の維持・向上、コンプライアンス対応といった取り組みを進めることも容易になる。

 しかし一方で、この仕組みの下では新たな課題も生まれている。現在は、VoIPやWeb会議、ビデオコンテンツといった大容量データをやり取りするアプリケーションの利用が拡大。これにより、WANのトラフィックが大きく膨らみ、通信コストが経営を圧迫しているのだ。その理由は、現在の企業で一般的なWAN構成にある(図1)。

図1●企業で一般的なWANの構成とその課題
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SaaSやVoIP、ビデオコンテンツなどのアプリケーションの利用が拡大し、WAN回線に求められる帯域が増大。通信コストが経営を圧迫している

 多くの企業は、セキュリティやガバナンスの強化を容易にするため、あらゆる通信を一度、自社のデータセンターを経由する仕組みにしている。つまり、自社で保有するアプリケーション以外に、サードパーティのSaaSを使う場合も、いったんデータセンターを経由するという方式である。この仕組みでは、費用のかかるIP-VPNを頻繁に利用するため、どうしても通信コストがかさんでしまう。

 もちろん物理的には、より安価なインターネットVPNをIP-VPNの代わりに使う方法もある。実際、すでにバックアップ用途でインターネットVPNを併設している企業は多いだろう。だが、重要な業務アプリケーションを扱う上での通信品質や信頼性の面では不安があるため、メイン回線にすることははばかられるのが実情だ。

 「WANの品質や信頼性は維持したいが、通信コストはこれ以上かけたくない」――。増え続けるトラフィックを前に、この願望を両立する方法はあるのだろうか。

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