グローバル企業が推し進める「人財中心」の企業戦略・人事改革

 グローバル市場において、絶えず変化する環境に対応しながら、競争力を維持し続けるのは簡単ではない。そのためにはイノベーションを継続的に生み出していくことが求められるからだ。イノベーションの源泉となるのは、当然ながら従業員の発想力や意欲、能力である。イノベーションを生み出せる人財を採用・育成し、その能力を最大限に引き出していくための仕組みや環境を整えていくことが、これからの企業そして人事部門には求められているのだ。

 しかし現実には、これはなかなか難しい課題だ。まずAIなどの最先端分野のみならず、あらゆる分野で人財獲得競争が激化しているのは周知の通り。特に少子高齢化が進む日本では、新卒・中途を問わず採用手法の見直しだけでなく、シニア活用も含めた従業員のスキル再開発も重要な課題となっている。また離職防止も重要なテーマで、優秀な人財を獲得できても、従業員一人ひとりのキャリアに対するニーズを深く理解し、適切な機会提供、人財開発や配属を行わなければ、従業員の定着はおぼつかない。

 すでに海外企業では、このような問題を解決するための取り組みが進んでいる。イノベーションの源泉は多様性にあると考え、人種・性別・国籍問わず、多様な人々が協調して成果を出せる環境を整える「ダイバーシティ&インクルージョン」、個人と組織が対等の立場で互いの成長に貢献し合う関係を構築する「従業員エンゲージメントの向上」などが行われているのだ。離職防止に関しても、従業員が生き生きと働けるような企業文化の醸成、人事制度の整備はもちろんであるが、人財に関するデータを常日ごろから集め分析し、離職の兆候がでたタイミングで適切な措置を講じるような試みもなされている。またキャリアについても、会社から一方的に押し付けられるのではなく、従業員が主体性をもって考え、管理・計画できる仕組みを取り入れているケースも多い。これらは「従業員中心」「人財中心」の発想に基づいた人事改革だといえるだろう。

 翻って日本企業の状況を見ると、ここまでの取り組みを体系立って行っているケースはまだ少ない。しかしその重要性を認識し、すでに動き始めている企業も存在する。

 ここでは楽天と東京エレクトロンの2件の事例を紹介する。これらはいずれも日本企業のケース。他の日本企業にとっても参考になるはずだ。

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