3Dプリンティングが試作用途の域を越えて、実際の製品作りにも適用されると言われ始めて久しいが、作る3Dプリンタ自体が試作中心の時代のままでは限界がある。実際の製品、それも量産品に適用される時代を見据えて、量産に適した3Dプリンターを開発したのが米3Dシステムズだ。量産品に求められるコストと速度を追求することで、3Dのものづくりのメリットを量産品でも求めるユーザのニーズに応えようとしている。

 素材を削るのではなく積み重ねてモノを作る積層造形、いわゆる3Dプリンティングは、精度向上や使える素材の拡大、基本技術の特許切れによる低価格化などを背景に、用途を広げてきた。特に広がってきたのが、試作ではなく製品への適用だ。設計情報を試作して検証するだけの使い方を越え、実際の製品として使うことを目的としたものづくりに適用され始めている。

 3Dプリンティングの大きなメリットの一つは、1個単位で必要なモノを作ることができる点。また切削や射出成形などでは組み立てが必要な形状のモノも、3Dの設計データさえあれば容易に一体成形できることも特徴だ。その特徴を生かして実際の製品作りへの適用は、形状が特殊で生産数が少ない治具や保守部品などから始まっている。

 一方で、ものづくりの本流とも言える量産品への適用は、まだ始まっているとは言えない。コストや生産効率の面で従来の手法を超えることができないためだ。3Dプリンティングの利点は広く理解されながらも、「量産品には向いていない」と認識されているのが現状だ。

 3Dシステムズはその認識を打ち破ろうと、量産品への3Dプリンター適用に取り組んでいる。その成果の第一弾として発表したのが、「Figure 4」だ。

最大100mm/時の速度で成形

 3Dシステムズは米国に本部を置く3Dプリンティングのソリューションベンダー。同社が発表した「Figure 4」は、小型の量産部品の製造を前提とした3Dプリンターだ。光硬化性樹脂を使って3Dの設計情報をもとに形を作っていく点は、一般的な3Dプリンターと変わらないが、特徴はその速さにある。Figure 4で使える樹脂の一つで特に高速性に優れた「TOUGH-GRY 10」の場合、樹脂の層から引き上げる速度は最大100mm/時。熱可塑性樹脂を使うモノも含めて、そのスピードは3Dプリンターとしては高速で、多数個取りできる形状のワークであれば一気に多くを作り上げることができる。

 また3Dプリンターでは従来困難だった表面のテクスチャリングが可能なのも、Figure 4の特徴だ。成形後にエンボス加工を施すことなく、そのまま使える形で出力できるわけだ。使用できる素材にはTOUGH-GRY 10のほか、耐衝撃度などに優れて安価な「TOUGH-GRY 15」、滑らかな表面を再現できるため宝飾品や石膏鋳造の型などに適した「JCAST-GRN」がある。

Figure 4で製作したワークのサンプル

 もっともFigure 4が生産スピードを高めることで、量産品の製造に適用できるようになったとは言っても、射出成形のように長年生産現場がノウハウを積み重ねてきた手法と同じレベルの生産性にはまだ及ばない。それでも同社が量産品に3Dプリンターを提案しようとしているのは、従来のものづくりの手法に限界が近づいていると考えているためだ。

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