躍進する星野リゾートが抱えていた“アキレス腱”とは

 社員のポテンシャルを最大限に引き出し、ビジネス成長につなげたい――。そのために、ITは有効な手段となる。総合リゾート運営会社の星野リゾートも、ITによるワークスタイル変革で人材活用を推進する一社だ。

 同社は、ラグジュアリーリゾート「星のや」、高級温泉旅館「界」、上質なリゾートホテル「リゾナーレ」というブランドのもと、それぞれに個性的な宿泊施設などを国内外35カ所に展開。2014年に創業100年を迎えた老舗企業である。

星野リゾートの旅館・リゾートホテル
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高級温泉旅館や長期滞在も可能なリゾートホテルなど、地域の自然や環境にマッチした施設で、くつろぎの空間を提供する。日本だけでなく海外から訪れる旅行者も多い(写真は「界 鬼怒川」)

 洗練された高級温泉旅館やリゾート施設と、卓越したサービスで知られる同社は、「統合予約センター」(コンタクトセンター)を沖縄県に設け、顧客からの宿泊予約や問い合わせの電話を一元的に受け付けている。これにより、対応業務を集約し、施設を横断した案内、顧客要望の共有といったことを図りやすくしているのだ。

株式会社星野リゾート
統合予約センター
ユニットディレクター
安田 隆明氏

 「サービス業において、『ヒト』はなにより重要な経営資源です。これはお客様と直接お会いする各施設のスタッフだけでなく、電話・メールでやりとりするスタッフも同じ。特に、お客様との最初の接点となるコンタクトセンターでは、“いかに手厚い対応ができるか” を基本姿勢としており、予約関連の電話オペレーターは、非常に重要な役割を担っています」と同社の安田隆明氏は語る。

 各オペレーターは、全施設の案内や予約受付を行うため、施設の特徴や宿泊プランといった基本情報から、周辺の観光情報までの幅広い知識と丁寧な対応が求められる。いわば「星野リゾートのコンシェルジュ」ともいえ、優れた電話オペレーターは星野リゾートにとって手放せない人材となっている。

 しかし従来は、このオペレーターの人材活用に課題を抱えていたという。

 オペレーターは、約8割が女性。電話での的確な案内ができるようになるには2年ほどかかるが、その後、出産・育児やパートナーの転勤といったライフイベントを迎えるスタッフも多くいる。同社では、そうした社員も仕事を辞めずに済むよう、メール確認や事務作業が自宅でできる在宅勤務制度を設けていたが、ことコンタクトセンターにおいて、メインとなるのは顧客からの電話対応。これは、在宅では行うことができないため、せっかく身につけた電話対応のスキルも、生かすことができない状態だった。

 「優秀なスタッフの力を継続的に生かせれば、お客様対応品質の向上につなげられます。『ぜひ働き続けたい』と言ってくれるスタッフの思いに応える上でも、この状況は早急に改善したいと考えていました」と安田氏は振り返る。

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