
経営企画部 IT企画課 課長
高野秀弘氏
「食を通じて『健康と豊かさと和』をもたらし、笑顔あふれる社会に寄与する」ことを使命とし、お好み焼き文化を幅広く発信し、ソースやお好み焼関連食材を製造・販売するオタフクソース (広島市)。同社は、2018年春のハードウェアの保守切れのタイミングに合わせて計11台のサーバーで稼働していた基幹系システムのSAPと関連するシステムをクラウド上に移行した。
2016年3月に情報系システムをクラウドに移行した同社にとって、「SAPをクラウドに移行させたい」という想いは、少ない人員でグループ全体のシステムの開発・運用にあたるシステム部の共通認識であり、最優先課題でもあった。基幹業務を動かしているSAPの移行が完了すれば、オンプレミスに残るシステムはほぼなくなる。
しかし、基幹系システムを移行するうえでの懸念事項もあった。パフォーマンスの確保だ。「SAPはミッションクリティカルな業務に使っています。これまで使っていたオンプレミスよりも遅いことは許されません。ネットワークを介して利用するクラウドではその点が心配でした」とオタフクホールディングス 経営企画部 IT企画課 課長の高野秀弘氏は語る。
実際に次のステップであるSAPの移行に向けて新たな視点から情報収集を開始した同社は、その壁にぶつかった。「コストを抑えながら最大限のパフォーマンスを得るにはどうすればいいのか。そのバランスを見極めるのが難しかった」(高野氏)。

ネットワークを介して利用するクラウドでは、オンプレミスと違ってスペックだけはパフォーマンスを予測できない。同社のIT企画課 シニアスタッフの岩井基氏は「いくつかのクラウドベンダーに照会・調査しましたが、どういうサービスを選定するのが弊社の求める基準を満たすのかについて明確な回答は得られませんでした」と当時を振り返る。
ハードウェアの保守切れというタイムリミットが近づく中で同社が選定の尺度としたのは、今後いかに発展していくかというクラウドへの期待度とベンダーの取り組み姿勢だった。