産業界で製造される製品や部品には、加工や熱処理により不可避的に引張や圧縮といった応力が残る。また、金属などの溶接時にも溶接変形や応力が発生する。橋梁などの構造物にも大きな応力が発生している。これら部品や構造物の内部に存在する応力は外部からの力を除いても物体内部に残る。その応力を残留応力と呼ぶ。残留応力は一般的に部品の強度や形状精度に悪影響を及ぼし、部品劣化の原因となる。市場でトラブルを発生させることもある。

ところが製造工程の中で残留応力を測定することは少ない。市場で部品不良が発生してはじめて原因究明のために測定されるのが実態だ。通常、部品内部の残留応力は直接目で見ることはできない。測定することも容易ではない。もちろん、大型のX線装置を使えば残留応力を測定することは可能だが、製造ラインに設置することや橋梁の検査現場で直接測定することは難しい。

こうした課題を解決するX線残留応力測定装置を、静岡県のパルステック工業が開発した。同社のポータブル型X線残留応力測定装置「μ-X360n」は、X線を発生させるセンサユニット、電源ユニット、制御用ノートPCから構成される。センサ部の大きさは124(W)×311(D)×154(H)mmと極めて小型で、重量も約4kgと軽量である。測定現場に持ち運ぶことも可能だ。測定対象は、鉄、ステンレス、アルミ、ニッケル、チタン、タングステンカーバイト、セラミックなどであり、1個所の残留応力を90秒で測定する。

「μ-X360n」
「μ-X360n」