電線の被覆装置を製造する大宮精機(静岡県富士宮市)は、その技術を生かして高い成長が期待できる医療分野に進出した。現在、医療分野では、患者の体に対する負担が少ない低侵襲性医療が普及している。低侵襲性医療は手術・検査などに伴う患者の痛みや出血などをできるだけ少なくする治療法である。手術後の回復も早い。低侵襲性医療には医療用チューブやカテーテルが用いられる。

大宮精機が製造するのは医療用チューブの押出成形装置やカテーテル・ガイドワイヤーに樹脂をコーティングするための焼成装置などである。「医療分野への進出は、2002年ころだ。電線メーカーからスピンアウトしたベンチャー企業に医療用チューブの製品を納めたことがキッカケだった」、と同社代表取締役社長金子建太郎氏はその当時を振り返る。「2000年以降、経済の低成長化や海外への工場移転により国内向け電線被覆装置の販売は縮小していた。電線被覆装置と技術的親和性が高い医療用チューブ分野を新たな収益源とする狙いがあった。現在、医療分野が売上の10~15%を占めるまでに成長した」(金子氏)。

大宮精機は1939年、工作機械の製造・販売および部品加工を目的に設立された。現在の主力事業である電線被覆装置の製造・販売を開始したのは1950年である。売上高は21億円(2016年4月)だ。国内市場は飽和状態にあるものの、自動車工場の海外進出に伴い、ワイヤーハーネスに用いられる自動車電線被覆装置が好調で、海外販売は伸びている。売上高の2/3を海外市場が占める。「1990年代後半から、日本の自動車メーカーの進出先であるフィリピン、タイ、中国、ベトナム、メキシコへ電線被覆装置を輸出してきた。こうした傾向は今後数年続くだろう。次はブラジル、南アフリカ、インドといった市場を期待している」(金子氏)。

大宮精機 代表取締役社長 金子建太郎氏
大宮精機 代表取締役社長 金子建太郎氏