世界中が動き出した脱炭素への取り組み。実は、そこに木材ビジネスが大きく関わってくることを皆さんはご存知だろうか。

(撮影:日経BP 総合研究所 社会インフララボ)

 日本は森林面積が国土の3分の2に及ぶ森林大国だ。戦中・戦後の大量伐採で森林は荒廃したが、その後の植林で森林面積は年々増加。いまや本格的な利用期を迎えている。ただ、森林が育つまで半世紀にわたって木材を輸入に頼ったため、国内林業の産業化は遅れ、規模の大きな木造建築をつくる技術も磨かれてこなかった。

 その潮流が大きく変わり始めている。森林は二酸化炭素(CO2)を吸収し、木材は炭素を貯蔵する。この吸収や貯蔵の効果は、脱炭素社会の実現に向けてあと数パーセントと乾いた雑巾をしぼる段階になると、がぜんインパクトを発揮する。温暖化ガスの排出量をゼロにできなくても、吸収・貯蔵でオフセット(相殺)できるからだ。

 ただ、今の日本における木材ビジネスは、川上(林業など)、川中(木材産業など)、川下(建築業、不動産業など)が分断されている。サプライチェーンが未熟で、その不備は世界的な木材価格高騰「ウッドショック」で露呈してしまった。川上、川中、川下をつなぐイノベーションは、脱炭素社会の実現に欠かせない。2021年10月11日からオンラインで開催される「日経クロステック EXPO 2021」では、『脱炭素で注目浴びる「木材ビジネス」の展望』と題して講演をさせていただく。

脱炭素で注目浴びる「木材ビジネス」の展望
2021/10/21(木) 17:30 ~ 18:00
日経BP 総合研究所 上席研究員 小原 隆

 森林は光合成の過程でCO2を吸収し、森林からつくり出される木材は燃やさない限り炭素を貯蔵し続ける。政府は2050年の脱炭素目標に向け、木材を最大限に活用する方針を掲げた。SDGsやESG投資などの観点からも、国内外で木材ビジネスへの期待は高まっている。ウッドショックを経て、新たに生まれるビジネスチャンスを展望する