日本で取り組まれているDX(デジタルトランスフォーメーション)の大半は失敗に終わりそうだ。講演のタイトルに則して言えば、大半は「アカン!DX」である。

 今、日本企業はこぞってDXに取り組んでいる。DX事例がIT系メディアをにぎわし、バラエティー系テレビ番組にさえDXという言葉が登場するようになった。あるファンドマネジャーによると「投資先の全ての経営者が自社のDXについて語るようになった」という。まさに「空前のDXブーム」と言ってよい。

 DXに取り組もうとしているのは企業だけではない。政府機関や地方自治体でさえDXの必要性が叫ばれるようになった。新型コロナウイルス禍の経済対策などのために導入したシステムが軒並み使い物にならず、日本は「IT後進国」との認識が一気に広まってしまった。そうした失態もあってか、政府はデジタル庁を創設し、「行政のDX」を推進する姿勢を明確にした。

 だが、DXブームは既に腐り始めている。DXを平たく言えば「デジタル(IT)を活用したビジネス構造の変革」だ。DXの主眼はあくまでもトランスフォーメーション、つまり変革である。その本質を理解しようとせず、いたずらに「デジタル」を叫ぶ。そんな例が多すぎる。

 例えば、スマートフォンアプリを作っただけでもDXだ。コロナ禍対策としてテレワークを導入したことをもって「我が社もDX」と喜ぶ愚かな経営者も大勢いる。DX推進組織を設置したものの「何をしてよいか分からない」と担当役員が困惑している企業もある始末。ある調査によると「DXの重要性を理解しているものの、現場任せ」という経営者が4割もいるというから、あきれるしかない。

 私は日経クロステックに「極言暴論」というコラムを持ち、8年にわたり日本企業/行政機関のIT活用の問題点や日本のIT産業の不条理などを追及し続けてきた。最近はDX関連の記事を増やしており、それを基に書籍『アカン!DX』も執筆している。

『アカン!DX』(2021年5月24日、日経BP刊)
日本企業や行政機関のDXの「トホホな実態」を徹底的にえぐり出す。この本を読めば、組織におけるDXの課題が「見える化」できるはずだ。(書影:日経BP)

 2021年10月11日からオンラインで開催される「日経クロステック EXPO 2021」では、『極言暴論ライブ~「アカン!DX」変革を忘れたデジタルごっこを斬る』と題して講演をさせていただく。本講演では、記事執筆で培った知見を基に、日本のDXの愚かしさを“暴論”風にずばり指摘する。日本企業や行政機関のDX、そしてそれを支えるIT産業の構造的問題も明らかにするので、DXの推進・軌道修正の一助にしていただきたい。

極言暴論ライブ~「アカン!DX」変革を忘れたデジタルごっこを斬る
2021/10/11(月) 17:00 ~ 17:30

 DX(デジタルトランスフォーメーション)ブームは既に腐り始めている――。今、企業経営者の誰もが「我が社のDX」を語り、デジタル庁の発足で行政のDXも本格化しようとしている。だが「DXの活用」といった意味不明の言葉に象徴されるように、日本のDXは変質し始めている。変革を忘れたデジタルごっこ、そんな「アカン!DX」の現状と問題の本質を、日経クロステックの名物コラム「極言暴論」の筆者が舌鋒鋭く指摘する。