「2050年カーボンゼロ」など、各国が目標を掲げて進めるカーボンニュートラル。その中核の一つは再生可能エネルギーの徹底活用である。とはいえ、天候などの影響を受ける再エネはエネルギー供給源としては不安定で、その変動を吸収する仕組みが欠かせない。

水素エネルギーは技術開発のフェーズから社会実装のフェーズに入りつつある
(出所:レポート「世界水素ビジネス -社会実装編-」、2021年11月発行予定)

 そこで注目されている技術の一つが、化石燃料用途のすべてを代替し得る水素エネルギー。カーボンニュートラル実現を大きく左右する可能性さえある。日本では、「利用側」を重視した社会実装プロジェクトが相次ぎ、欧米豪、中国、韓国も、商用化を目指すプロジェクトを相次ぎ立ち上げている。もはや水素は未来の技術ではない。量的拡大によって商用化を目指す時期に来た。

 ただし水素の製造、供給、利用という3要素を一気に立ち上げることは難しい。水素を導入するためにはインフラやサプライチェーンを新たに構築する必要がある。水素ステーションなどのインフラ側では大きな初期投資が必要であり、その経済性を向上させるには稼働率を高めなければならない。つまり、地域に設置する水素供給拠点を中心に需要を集めることでフル活用することが目指す姿となる。

 では、どこから手を付けたらよいか。2021年10月11日からオンラインで開催される「日経クロステック EXPO 2021」では、『利用を拡大、社会実装フェーズに入る水素ビジネス 』と題して講演をさせていただく。本講演では、「点」から始まり、「線」「面」へと展開していく水素の社会実装シナリオと、そこに生まれる水素ビジネスの可能性を解説する。

利用を拡大、社会実装フェーズに入る水素ビジネス
2021/10/21 (木) 17:00 ~ 17:30
日経BP 総合研究所 SDGsセンター 主席研究員 山口 健

 あらゆるステークホルダーが認識する国際的なコミットメントになった「2050年カーボンゼロ」。その達成は、再エネの不安定性を吸収し、化石燃料用途のすべてを代替できる水素抜きには考えられない。水素は、もはや未来技術ではなく、量的拡大によって商用化を目指す時期に来た。とはいえ、水素の製造、供給、利用という3要素を一気に立ち上げることは難しい。では、どこから手を付けるのか。まず、工場のカーボンゼロ向けが先行する。並行に、地域ごとにFCモビリティの活用プロジェクトが立ち上がる。