菅首相が2020年秋の所信表明演説で打ち出した「2050年カーボンニュートラル宣言」。それからというもの、脱炭素という言葉を聞かない日はない。時を同じくして、これまで気候変動対策に消極的だった中国と米国も一気に脱炭素へと舵(かじ)を切った。

日本総合研究所フェロー井熊均氏
(写真:加藤康)

 脱炭素は、近代の発展を支えてきた石油や石炭などの化石燃料からの脱却を意味する。エネルギーはもちろん、交通や都市開発をはじめ、ありとあらゆる産業で脱炭素を実現するためのテクノロジー開発競争が勃発する。米中が脱炭素に舵を切ったのは、世界が脱炭素に向かうことで200年ぶりに産業革命が起きようとしているためだ。

 2021年10月11日からオンラインで開催される「日経クロステック EXPO 2021」での登壇が決まった日本総合研究所フェローの井熊均氏は、脱炭素がもたらす経済の新しい潮流に早くから注目してきた。脱炭素で始まるこの新たな経済潮流を「ゼロカーボノミクス」と名付け、その実態や影響、日本企業が存在感を発揮するための戦略をまとめた書籍『脱炭素で変わる世界経済 ゼロカーボノミクス(仮題)』(日経BP、2021年11月刊行予定)を現在執筆中だ。井熊氏によるとゼロカーボノミクスでは技術革新領域が以前から大きく変化する。現時点では中国が驚くほどの独走状態で、米中を軸とした覇権争いの行方にも影響を与えると明かす。

 2021年6月に日本総研フェローに就任した井熊氏はこの道30年以上の経験を誇るコンサルタントだ。電力自由化や再生可能エネルギー導入に関する多数の政策提言など、エネルギー関連の政策に精通するほか、最近では北陸三県を舞台に経済産業省が推進している「J-NEXUS 産学融合先導モデル拠点創出プログラム」に参画。一般財団法人北陸産業活性化センターを中心に、富山県、石川県、福井県の3自治体、北陸地域の国立4大学、北陸経済連合会など、全18機関もが関わるビッグプロジェクトを推進するなど数々の実績を持つ。

脱炭素で200年ぶりの産業革命が起こりつつある
(出所:123RF)

 日経クロステック EXPO 2021における井熊氏の講演では、ゼロカーボノミクスの現状をつまびらかにしつつ、日本の取るべき道が語られるはず。ゼロカーボノミクスの重要性と脱炭素化はすなわち次世代のエネルギー政策にほかならない。井熊氏のエネルギー分野の幅広い知見に基づく、深い分析が聞けるだろう。

脱炭素を巡る国際経済競争「ゼロカーボノミクス」が始まった
2021/10/18 (月) 17:30 ~ 18:00
日本総合研究所 フェロー 井熊 均 氏

 2020年9月の中国習近平国家主席の宣言により、世界中を巻き込んだゼロカーボン競争の火蓋が切られた。これまでEUが気候変動対策の動きをけん引してきたが、ゼロカーボン市場では米中対立を軸とした競争が繰り広げられる。日本は米中に挟まれながらも、自らの強みに注力し勝機を見いだしていくことが求められる。