デジタルトランスフォーメーション(DX)が最も効果を発揮すると言われる製造業。デジタル技術による変革が、“もの”から“こと”へのビジネスシフトを促すと期待されている。しかも、その重要性はますます高まっている。カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の実現を目指す上でも、デジタル技術が欠かせないからだ。

 製造業においてDXが重要との認識に異を唱える人は少ないだろう。日経BP 総合研究所 クリーンテックラボと日経クロステックが日本科学技術連盟の協力を得て製造業321社に対して実施した調査を見ても、製造企業のDXに対する意識は「とても重要である」が34.0%、「まあ重要である」が44.5%と、「DXの取り組みは重要である」という考えは製造業全体に広がっている。「DXへの着手状況」についても「現在取り組んでいる」が最も多く44.9%、次が「今後1~2年以内に取り組みたい」の20.9%と、半分弱はすでに取り組んでいることが明らかになった(関連記事)。

DXへの意識
DXが重要と思うかを聞いた(縦軸は企業規模)。企業のDXに対する意欲は極めて高い。()内は回答数。[出所:製造業DX調査レポート(日経BP)]
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 2021年10月11日からオンライン開催される「日経クロステック EXPO 2021」では、製造業を中心にDXの意味と重要性を解説した「デジタルファースト・ソサエティ」の編著者3人が登壇。製造業がDXを進める上で知っておくべきポイントや、カーボンニュートラル推進においてDXが果たす意義と役割について議論する。

 登壇者の1人は、東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリストの福本勲氏。同氏は、東芝で製造業向けSCM(サプライチェーンマネジメント)やERP(統合基幹情報システム)のソリューション事業立ち上げやマーケティングを手掛け、現在はデジタル化のトレンドや最新技術、同社のソリューションの特徴などを分かりやすく伝える伝道師(エバンジェリスト)活動を展開している。

東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリストの福本勲氏
(出所:東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター)

 福本氏とともに製造業DXについて語るのは、ITコンサルティングを手掛けるフロンティアワン(東京)代表取締役の鍋野敬一郎氏と、電通国際情報サービス(ISID)執行役員Xイノベーション本部長の幸坂知樹氏だ。

 鍋野氏は、米デュポン社(現ダウ・デュポン社)やドイツSAP社などを経て、2005年にフロンティアワンを設立。幅広く製造業の業務に精通するだけなく、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)サポート会員やAI(人工知能)ベンチャーのアドバイザーも務めるなどデジタル技術への造詣が深い。幸坂氏は、ISIDでERPやCRM(顧客関係管理)、IoT、AIなどソリューション事業の立ち上げに携わってきた。

 今回のセッションでは、日経ものづくり編集長である吉田勝が聞き手となり、それぞれ立場の異なる3人が、日本の製造業DXが抱える課題と在り方、その中でカーボンニュートラルにおいてDXが果たす役割について議論する。DXで何をどう変えていくべきか、カーボンニュートラルを見据えて企業は何に取り組むべきか――。3人の議論からヒントが得られるはずだ。

製造業はDXで何を変えるべきか
―カーボンニュートラル時代の生き残り戦略―
2021/10/14 (木) 17:00 ~ 17:40
東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリスト 福本 勲 氏
フロンティアワン 代表取締役 鍋野 敬一郎 氏
電通国際情報サービス 執行役員 Xイノベーション本部長 幸坂 知樹 氏
<モデレータ>日経ものづくり 編集長 吉田 勝

 近年、多くの製造業が変革や成長への起爆剤としてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を表明している。しかし、実態は既存事業の延長線の取り組みにとどまっている場合が少なくない。本来のDXとは何か、なぜイノベーションにつなげられないのか、さらにこれからの大きな課題であるカーボンニュートラルに向けてデジタル技術が果たす役割とは何なのか――。DXの課題とあるべき姿を説いた「デジタルファースト・ソサエティ」の著者らが議論する。