「チェックインですね、ご案内いたします」。空港で戸惑う乗客に声をかけ、専用端末まで誘導したのは、日本航空(JAL)の空港スタッフが遠隔操作するアバターロボット「JET(ジェット)」だ。乗客の質問に答えながら、チェックイン端末や手荷物預け機の操作方法を案内する。

遠隔操作のアバターロボットが乗客を案内する
(出所:日本航空)

 JALは2021年6月、経済産業省と東京証券取引所が発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2021」にDX先進企業として選定された。アバターロボットを活用した新たな接客サービスは、同社のDXの成果の1つとして生まれたものだ。

 企業がDXを進めようとするとき、DX推進組織を立ち上げたり、新しい事業やサービスのアイデアを打ち出してPoC(概念実証)に取り組んだりする。だが多くの企業でDX推進が掛け声だけにとどまり、PoCから先に進めない状態に陥っているのが現状だ。いわゆる「PoC倒れ」である。

 ではPoC倒れに終わらないためにどうすればよいのか。JALでは現場部門や外部企業を巻き込んだオープンイノベーションの仕組みを構築し、新たなサービスを相次ぎ生み出している。例えば、DX推進の中心組織としてイノベーション推進部を設置し、約30人の社員を配属。加えて、パイロットや客室乗務員、空港職員、整備士など現場の各部門から希望者を募り「ラボ会員」を置く。

 ラボ会員は、PoCを進めて開発を加速するうえで重要な役割を担う。その際、外部企業の知見も生かす。外部企業からの人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といった技術の提案をラボ会員と共有し、活用アイデアを出してもらう。活用する技術を踏まえ現場の意見をうまく取り入れることで、アイデアが机上の空論に終わりPoCから先に進めないという事態を回避する。

 2021年10月11日からオンライン開催される「日経クロステック EXPO 2021」では、日本航空の西畑智博常務執行役員デジタルイノベーション本部長が登壇。「JALのイノベーションへの挑戦 ~明けない夜はない!Every Night Comes to an End!~」と題して、現場のノウハウや外部の知見を生かした事業変革について詳しく解説する。

日本航空の西畑智博常務執行役員デジタルイノベーション本部長
(出所:日本航空)
JALのイノベーションへの挑戦
~明けない夜はない!Every Night Comes to an End!~
2021/10/13 (水) 12:30 ~ 13:00
日本航空 常務執行役員 デジタルイノベーション本部⾧ 西畑 智博 氏

 1995年にjal.co.jpを立ち上げ、翌年には日本の航空会社で初めてインターネットによる航空券予約を開始したJAL。2017年には50年ぶりに旅客基幹システムをクラウドサービスへ刷新しDX基盤を整備。2018年JALイノベーションラボを立ち上げるなど、JALの強みである人財と様々な社外パートナーを巻き込みながらイノベーションに挑戦し続ける仕組みづくりと、その中で産まれてきたデジタル変革や新たな事業領域への挑戦事例についてご紹介します。