日本の大手携帯キャリア3社がこぞって5G(第5世代通信システム)の商用サービスを始めたのは2020年3月。今から1年半ほど前のことだ。日本としては予定通りの展開だったが、そのおよそ1年前に韓国と米国がそれぞれ「世界初」を競って華々しく商用サービスを開始しただけに、「日本は世界に1年遅れている」というレッテルを貼られてしまった。

 そして今、世界を見渡すと、早くもBeyond 5Gあるいは6Gと呼ばれる次世代への取り組みがスタートしている。これは4Gから5Gへの検討が始まったときと比べて数年早いタイミングである。1Gから5Gまでの「10年で世代交代」というペースが縮まろうとしているのだ。

Beyond 5G推進戦略ロードマップの例
推進戦略は「知財・標準化戦略」「研究開発戦略」「展開戦略」の大きく3つがある。ここでは展開戦略の「5G・光ファイバー網の社会全体への展開」を示した。(出所:総務省)

 このような世界の情勢を鑑みて、今度は遅れてはいられないとばかりに、2020年1月、総務省は「Beyond 5G推進戦略懇談会」を立ち上げ、Beyond 5Gに関する総合戦略(ロードマップ)の策定に着手した。筆者はこのBeyond 5G 推進戦略懇談会の下に設置された「検討ワーキンググループ」(WG)の構成員の一人として、策定に向けた議論に参加することになった。

 同年1月末に開催された最初の会合で、筆者は配布された資料に目を見張った。そこにはフィンランドを筆頭とする欧州、米国、韓国、中国の先進的な取り組みが紹介されていた。「既に出遅れているのではないか」。そんな危機感を持って以後の検討会に臨んだ。

 議論を始めて半年後の2020年6月、懇談会内部で40を超える版を重ねた結果としての「Beyond 5G推進戦略-6Gへのロードマップ-」がまとまった。それを受けて同年12月には産官学で6Gを推進する団体「Beyond 5G推進コンソーシアム」が設立された。5Gにおける産官学推進団体「第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)」の設立は2014年。これまでの10年ごとの世代交代を考えれば、3年前倒しで進めることになったわけだ。

 現在のロードマップでは、2025年開催予定の大阪・関西万博で「Beyond 5G/6Gが実現する未来社会」を示すことになっている。もう時間はそれほどない。2021年10月11日からオンライン開催される「日経クロステック EXPO 2021」では、「日本の『Road to 6G』、いまどこにいるのか」と題して講演させていただく。技術開発はどの段階まで来ているのか。ニーズの掘り起こしは進んでいるのか。今度は世界と伍(ご)していけるのか。日本におけるBeyond 5G/6Gの今を紹介する。

日本の「Road to 6G」、いまどこにいるのか
2021/10/18 (月) 17:00 ~ 17:40
日経クロステック 編集委員 加藤 雅浩

 日本をはじめ世界各地で5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが広がる一方で、早くも次世代となるBeyond 5G/6Gへの取り組みが始まっている。5Gのときと比べて数年早いペースだ。それでも日本は2025年開催予定の大阪・関西万博で一般デビューを目指すことから意外に時間がない。総務省「Beyond 5G推進戦略懇談会」ワーキンググループの構成員を務めた立場から6Gのいまとこれからを紹介する。