モノづくりの高い品質を評価されてきた日本の製造業は今、大きな課題を抱えて岐路に立たされている。予測不能かつ急激な需要変化に直面し、外部要因による不確実性がさらに高まる中で求められるのが、「生産能力の低下」を克服し、「職場の安全確保」と「変化対応力の強化」を実現するデジタル変革である。

 日本の製造業はまさに今、大きな岐路に立っているといって過言ではない。そもそもこの環境変化はいつ、何から始まったのかというと、原点にあるのは2013年頃から世界的な潮流となったインダストリー4.0に象徴されるデジタル化の波である。

 端的に言えば、日本の製造業はグローバルの製造業と比べてこのデジタル化の波を経営レベルでキャッチアップしていくスピードで劣っており、これが工場での生産性や品質の格差として顕在化してきているのだ。

 さらにそこに突然襲い掛かってきたのが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大である。従来のように工場内に集めた作業者にほぼすべてを依存した人海戦術の生産体制では、いわゆる3密(密閉空間、密集場所、密接場面)が発生してしまう恐れがある。従業員の健康を守る観点から、製造業においても在宅ワークを中心とした働き方へのシフトを進める中で、生産ラインをリモートからコントロールできる仕組みを確立しなければならない。そこでも様々なデジタル・テクノロジーの導入が急務となっている。

 日本IBMの山岡史法氏は、「日本の製造業が現在抱えている課題は、『製造能力の低下』『職場の安全確保』『変化対応力の強化』の大きく3つに大別できます」と説明する。そして、山岡氏はそれぞれの原因を次のように示す。

日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業本部 IoT&ビジネストランスフォーメーション シニア・マネージング・コンサルタント 山岡 史法 氏
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