デジタル変革を見据えた3つの解決アプローチ

 まず「製造能力の低下」をもたらしている最大の要因となっているのは、近年の慢性的な人手不足である。少子高齢化の影響を受けて製造業でも若手人材の採用は年々困難になっており、一方で熟練工やベテランは定年を迎えて次々にリタイアしていく。その結果、生産のみならず検査や品質管理の体制も弱体している。

 次の「職場の安全確保」は、まさに今般のコロナ禍であらためて浮き彫りとなった課題にほかならない。現場任せの対応は困難で、仮に工場が新型コロナウイルスのクラスター(集団感染源)となってしまった場合、支払うことになる代償は計り知れない。また、長い目で見て多様な働き方に対応した安全な職場をつくることは、優れた人材を採用する上での重要なカギとなる。

 3つめの「変化対応力の強化」は、限られた熟練工やベテランに依存した生産計画と実行の調整における属人化を解消することで成し得る課題だ。生産ラインや工場内のみならずサプライチェーン全体を見える化し、プロセスの標準化と自動化を目指すことが重要なポイントとなる。

 「これらの課題に対してIBMでは、デジタルを活用した製造現場や間接業務の見える化に始まり、データ解析を通じた生産効率向上や自動化を実現するスマート工場化、そして人の知の継承と学習するスマート工場のさらなる進化へと導いていくという3つのステップを提唱しています」と山岡氏は説明する。

製造業のデジタル変革を3つのステップで実現する
製造業のデジタル変革を3つのステップで実現する
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