全世界に拠点を展開するIBM Cloudが7つ目のリージョンとして「IBM Cloud 大阪リージョン」を開設した。この新展開はユーザー企業にどんなメリットをもたらすのか。2014年に開設された東京リージョンとの関係性を踏まえ、大阪リージョンの価値とIBM Cloudの今後の展開について紹介する。
IBM Cloud大阪リージョンが2020年9月29日に始動した。世界40拠点で事業を展開するIBM Cloudにとっては、ダラス、ワシントンD.C.、ロンドン、フランクフルト、シドニー、東京に続く7つ目のリージョンとなる。
IBM Cloudにおいてリージョンは“地域”を意味し、地理的に独立したデータセンターは「ゾーン」といわれ、リージョンはアクセスポイントとゾーンによって構成される。大阪リージョンは、1つのアクセスポイントと3つのゾーンから成り立っている。ちなみに東京ゾーンは、2つのアクセスポイントと3つのゾーンという構成だ。

IBM Cloudの最大の特徴は、データセンター間の高速かつ高品質なプライベートネットワークが、IBM Cloudを利用するユーザーであれば無料で利用できる点にある。日本IBMの安田智有氏は「必要なときに必要なだけ、高速かつ無料でデータを送ることができます。頻度の制限もありません」と話す。
例えば、関西にある企業が、これまで東京リージョンをメインとして使っていたが、メインを大阪リージョンに切り替え、バックアップを東京リージョンに置いた場合に、大阪リージョンから東京リージョンにすべてのバックアップデータを送っても無料なのだ。
IBM Cloud全体で見た場合でも条件は変わらない。つまり、日本のどちらにメインのサーバーがあっても、全世界のサーバーにデータを無料で送信できる。米国でもヨーロッパでも同じだ。しかも仮想サーバーのネットワークの最大帯域は80Gbpsもある。