代表電話を受けるため、ヘトヘトになって会社に出社

 2011年の東日本大震災の発生により、企業における切実な課題の1つにBCP(事業継続計画)が浮上したことは周知の通りだ。さらに近年は、台風・大雨が日本列島に甚大な被害をもたらすケースが頻発している。世界的にも、かつてない気候変動が関心事となる中、あらためてBCPに力を入れる企業が増えている。

 その対策として、多くの企業がリモートワークを整備し、いざというときにオフィスに出社しなくても仕事ができる環境を整えてきた。しかし、意外にも大規模災害などではリモートワークを十分に活用できないことが分かってきた。その原因の1つが「代表電話」だ。

 例えば、台風などの自然災害が発生した際、鉄道路線が麻痺した朝の駅に人々が殺到し、改札外まで列を成しているシーンをニュースで見た人は多いだろう。先日の台風の際も、大変な思いをして出社した人が大勢いたようだ。

 もちろん、列に並んでいる人には「出先で重要な作業がある」「顧客とのアポイントが入っている」など、それぞれ事情があることは想像に難くない。しかし、ここで注目したいのは、「オフィスの代表電話にかかってきた電話を受けるため、誰かが出社しなければいけない」という理由だけで列に並んでいた人も、少なからず存在するということだ。

 今のリモートワークは、「通常の業務で一部の社員がリモートワークを実施する」想定で行われているケースが多い。そのため、「ほとんどの社員が出社できない」場合に必要な対策が取られていないケースがある。代表電話はその一例といえるだろう。

 確かに、これまで代表電話はオフィスにいなければ受けられなかった。だが、これは多くの時間と労力を社員に費やさせてまで、出社させるべき業務といえるのか。列に並ぶ時間と労力を業務に充てられれば、その分、生産性が高められるのではないか――。実体験を経て、この疑問を抱く企業が増えている。

 また、災害時の電話についてはもう1つ別の課題も見えてきた。製品・サービスのサポートのため、コールセンターを開設している企業は多いだろう。災害時は、このコールセンターへの入電数が突発的に増える傾向があるが、回線やオペレーターの数を増やすことは簡単ではない。最近のように自然災害が頻発する中では、より迅速、かつ低コストで応答体制を確保できる手段を模索する企業が増えているのである。

 言うまでもなく、電話は現在のビジネスコミュニケーションにおいても最重要手段の1つだ。にもかかわらず、それが思いのほか災害に弱いということを、紹介した2つの課題は示している。有事にも役立つ電話環境の在り方について、考えてみよう。

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