クラウドがDXの足かせになる意外な理由

 デジタル技術を活用してビジネスや組織を変革する――。デジタルトランスフォーメーション(DX)の期待がますます高まり、その実現にチャレンジする企業も増えつつある。しかし、成果を実感できている企業はまだ一部に限られる。PoC(概念実証)を繰り返すうちに力尽きる「PoCループ」に陥るケースが少なくないからだ。

 DXに取り組む企業の多くは、経営トップのコミットメントのもと、DX推進の専任部署を組織している。ここが中心となってPoCに挑むのだが、往々にして新組織はビジネスの視点が不足している。ビジネスや業務の中にどんな課題があるのか。市場や顧客が何を求めているのか。課題やビジョンが明確になっていない。現場とDX推進部門がもっと連携し、課題やビジョンを共有しなければ、着地点は見えてこない。

 ITの側面でも課題がある。その最たるものが「データロックイン(データの移動がしにくい状態)」問題である。現在はハイブリッドクラウドやマルチクラウドを選択する企業が増え、組織内で複数のクラウドサービスを使い分けるケースが多い。その一方、データは個々のクラウドの“箱の中”に閉ざされている。

 データが増えてもすぐに容量を追加できる拡張性、ストレージデバイスの稼働監視や保守メンテナンスが不要な運用管理性などクラウドには多くのメリットがあるが、データを引き出すにはコストがかかる。つまりデータを活用しようとすればするほど、コストがかかってくるわけだ。既に欧米ではこの問題が顕在化しており、今後日本でも、同じような問題に直面する企業が増えていくはずだ。

 PoCループを抜け出し、実証の成果をビジネス実装につなげていくためには、2つの対策が必要になる。1つは「現場とDX推進部門の連携を深めること」。もう1つは「データロックインを脱却すること」だ。これが組織横断的なデータ活用につながっていく。次頁以降で、その実現に向けた具体的な方法を考察していこう。

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