9割以上の企業がDXに取り組めていない。その背景は

 経済産業省が 2018 年に公開した「DXレポート」では、既存システムがデジタルトランスフォーメーション(DX)の障壁となることに対して警鐘を鳴らした。その発行から2年以上が経過するが、まだその道のりは遠い。2020年に公開された「DXレポート2(中間とりまとめ)」では、実に9割以上の企業がDX にまったく取り組めていない(DX 未着手企業)レベルか、散発的な実施にとどまっている(DX 途上企業)状況であることが明らかになった。

 ただし、潮目も変わりつつある。そのきっかけは、新型コロナウイルスだ。この突然の危機による環境変化に対応できた企業と、対応できなかった企業の差が拡大しているのだ。DXレポート2でも、「変化に迅速に適応し続けること、ITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革すること」がDXの本質であり、企業の目指すべき方向性だとしている。

 いかに変化に迅速に対応できるシステムを構築するか――。これは、言葉で言うほど簡単ではない。企業には、基幹システムを中心としたモード1(SoR、守りのIT)と、柔軟性やスピードを重視するシステムのモード2(SoE、攻めのIT)があるが、その分断が起きているからだ。変化に迅速に対応するには、「守りのIT」と「攻めのIT」の間で分断のないシステム運用が非常に重要である。しかし現実には、モード間のシステム連携、相互運用性は、大きな課題として残っている。

 なぜ分断が起きているのか。その大きな理由は、既存システムが受発注、在庫管理、物流など顧客や取引先を含むサプライチェーン全体の活動を支えているからだ。システムが止まればビジネスも止まる。影響範囲が広いため、簡単には変えにくい。そもそも日々の運用に忙しく、レガシー脱却を考える余裕もない。

 仮にこれを乗り越えたとしても、その次には「移行の壁」が立ちはだかる。サーバーやストレージは仮想化している企業が多いが、バージョンやハードウエアの違いを調べ、移行計画を立て、稼働検証まで行う必要がある。ビジネスを止めるわけにはいかないので、うまくいかないことも見越して切り戻しの手立ても考えなければならない。

 その結果、変革を目指したもののオンプレミスに回帰したり、データ統合が困難なためレガシーを捨てきれず新旧システムを“二重運用”したりする企業もある。

 こうした立ちはだかる「壁」を乗り越え、ニューノーマル時代に応えられるシステムに挑むにはどうすべきか。そのためのアプローチを考察していく。

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