介護サービスに係る記録や文書作成にかかる膨大な時間を生成AIで削減
介護を必要とする人とその家族に寄り添い、明るく健やかな毎日を支える――。世界に類を見ないスピードで高齢化が進む日本にとって、介護事業は重要なサービスの1つである。

その介護業界でデジタルトランスフォーメーション(DX)による変革が進んでいる。業界をリードするのが、訪問介護大手のやさしい手だ。2000年に介護保険制度がスタートする以前の1993年から介護事業とそのコンサルティング事業を展開している。「『住み慣れた家で最期まで生きたい』という利用者の想いを大切にし、地域包括ケアシステムの推進を通じ、切れ目のない在宅サービスを提供しています」と同社 代表取締役社長の香取 幹氏は述べる。
介護事業は介護保険報酬によってビジネスが成り立っているが、介護報酬の対象となるのは利用者をケアする介護サービスのみ。介護の記録や文書作成といった事務作業は対象とならない。しかし、この事務作業の負担は決して小さなものではない。介護・看護記録、アセスメント、ケアプランなど多くの文書作成業務が存在する。利用者の状況をデータとして記録し、家族や医療・介護関係者にレポートを行う重要な業務である一方、「スタッフたちは多大な時間と労力を費やしていました」と香取氏は話す。また作成者によって記録や報告書の質にバラつきが見られる点も懸念されていた。
課題解決のために採用したのが、生成AIだ。文脈や文意を理解する生成AIを活用すれば、文書作成業務を効率化できると考えた。介護業界の長年の課題である慢性的な人手不足を補い、利用者やその家族へのアカウンタビリティ向上にもつながる。
実際、生成AIの活用により、同社は目を見張る成果を上げている。成功に至るまでには様々な試行錯誤があったという。ここでは、その取り組みと具体的な成果を次頁以降で詳しく見ていく。