ここ14年で保有契約数を10倍に伸ばしている生命保険会社がある。1991年設立のオリックス生命保険だ。2000年半ばに法人向け商品中心から個人向け商品へと軸足を移し、2006年に医療保険「CURE(キュア)」を発売して弾みをつけた。
企業の成長に伴い、システムも拡張してきたが、同社のアプリケーション開発部門の責任者である本間信介氏は「デリバリー最優先で開発してきた結果、個別最適化が進んでしまっていたのです」と語る。同様の課題を抱える企業は多いはずだ。

2012年、同社は個別最適から全体最適へと舵を切ることを決断する。分散していたシステムを再構築してサーバー基盤を共通化し、機能を共有化することでITインフラをサービス/プラットフォームに変えていくという中長期のビジョンを打ち出した。目指す姿は、ビジネスの変化に柔軟に対応し経済的にもメリットが大きい「ソフトウェア・デファインド・データセンター」である。
同社がまず取り組んだのはサーバー基盤の集約だ。「仮想化技術を使って3つのデータセンターに分散していたサーバー基盤をハイパーコンバージドインフラに統合しました」と本間氏。同社はこの取り組みで、公益社団法人企業情報化協会(IT協会)の「平成29年度IT賞特別賞(IT推進部門賞)」を受賞している。
次のターゲットは機能の共有化だが、課題となるのは老朽化し手作業中心のオペレーションで運用されている既存アプリケーションの存在だ。そこで同社はアプリケーションプラットフォームのモダナイゼーションに挑む。DockerとKubernetesを使って既存のアプリケーションを自社でコンテナ化し、インフラコストの30%削減など一定の成果を上げた。
しかし、同時に今後の課題も見えてきた。技術面の学習コストの高さと、バージョンアップサイクルの短いKubernetesへの対応である。この課題を解決するために同社はどのような選択を行ったのだろうか。