2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」は、大きな衝撃をもって受け止められた。なぜ政府はそこまで踏み込んで警鐘を鳴らすのか。そこには企業のシステムが現状のままでは最新のITに対応できず、大きなビジネスチャンスを逃すのではという危惧がある。

 今後のビジネスを左右するITとしては、AI(人工知能)、あらゆるものがネットにつながるIoT、ビッグデータなどが挙げられるが、その一つに位置付けられているのがAPI(Application Programming Interface)だ。企業が保有するシステムの機能をAPIで公開したり、公開されているAPIを活用することにより、これまでとは次元の違う広がりやスピードでビジネスを展開できる。

日本アイ・ビー・エム株式会社
クラウド テクニカル・セールス
エグゼクティブ・アーキテクト
早川ゆき氏

 「APIというと、残高照会などの銀行が持つ金融サービスの一部をフィンテック企業に提供するものという限定されたイメージがありますが、もっと幅広く新たなビジネスを生み出すことができる技術です。実際にAPIを活用した新しいビジネスモデルが次々と生まれています」と日本IBMの早川ゆき氏は語る。

 例えば、2017年に生まれたスタートアップ企業Bumpedのアプリでは、ユーザーがお気に入りのブランドを登録し、その店で買い物をするたびに購入金額の数%をそのブランド企業の株式の購入に充てるといった面白いサービスを提供している。コーヒーを買うならスターバックス派という人は、ほんの僅かであってもスターバックスの株を所有することでオーナー意識が芽生え、ますますスターバックスを買い続けることになる。これは、ファン層を増やすロイヤリティ・マーケティングよりもさらに強力なオーナーシップ・マーケティングの推進と、ゲーム感覚で気軽に始めるミニ株投資をAPI活用で実現した好例だ。

 「企業がそのAPIをポータル・サイトで公開し、開発者が自主的に利用申請でき、自社のアプリに素早く組み込む『セルフ・オンボード』は今後増加し、世界のAPIエコノミーの市場は2022年に2000兆円になると予想されています」と早川氏は、シェアリングエコノミーを促進するAPIの威力を示唆する。このトレンドに日本企業が乗り遅れることは、日本経済のさらなる後退につながる恐れがあるが、あるきっかけにより⽇本型APIエコノミーが急速に拡大する要因もあるという。その要因とは何か、また日本企業はどのようにしてAPI活用を促進していけばいいのか。

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