英国企業の一部事業を買収、5カ国への新規ERP展開が必要に
日本企業にとって当たり前になった海外企業とのM&A。スピンアウト(企業が社内の1部門を切り離し、1企業として分離独立させること)した一部事業を買収して海外子会社を設立し、連結対象に組み入れるケースも少なくない。ここで大きな課題になるのが、スピンアウトした会社の基幹システムを、いかに迅速に立ち上げていくかだ。
しかしこれは決して容易なことではない。一部事業のスピンアウトではIT部門が付随しないことが多く、その場合にはシステム立ち上げの人員確保が難しくなるからだ。この課題をクラウドERPで解決したのが、日立ハイテクノロジーズである。同社はプロセス製造装置や電子顕微鏡などのナノテクノロジーソリューション、医用分析装置やバイオ関連機器などのアナリティカルソリューション、生産システムなどのインダストリアルソリューションを手掛けるテクノロジー企業。世界27カ国/地域に32社を展開し、6877億円の売上高のうち61%を海外売上が占める。

同社がクラウドERPとして活用しているのは「SAP S/4HANA Cloud」だ。
「SAP S/4HANA Cloud導入のきっかけになったのは、英国企業の一部事業を買収したことでした。買収した事業は5カ国に展開していましたが、一部事業のみを買収したため、事業運営に必要なシステムを切り出し、新たに構築する必要がありました。しかし買収対象にIT部門は含まれていなかったため、新会社にはITスタッフがいません。既存システムを継続利用できるTSA期間(移行期間)は1年半という契約だったので、その間に限られた人員で新システムを立ち上げる必要があったのです」と、日立ハイテクノロジーズ 理事でデジタル推進本部 本部長を務める酒井 卓哉氏は語る。
それでは日立ハイテクノロジーズは、どのようなプロセスでこの課題を解決したのか。次ページ以降で解説する。