「IIFES」の前身は、自動化技術の展示会「システム コントロール フェア」(SCF)と、計測・制御の技術をテーマとした「計測展TOKYO」。SCFは19回、計測展TOKYOはその前身のものも含めると1955年から計37回の開催実績を持つ歴史的な展示会だが、徐々に開催期間や会場を共通化するなど連携を深めてきた。

 展示会を隔年で開催してきた両者は、2013年の開催から展示会のコンセプトを統一。2015年は会場規模を拡大し、前回開催の2017年ではテーマも統一して、実質的に1つの展示会となっていた。それが名実共に1つの展示会として開催されるのが、今回のIIFES 2019だ。

 1つの展示会に統合された背景にあるのが、「Industrie 4.0」という言葉に代表される製造業の歴史的な転換だ。生産ラインのすべてを人間が集中的に制御し、大量の製品を効率よく作ることを第一の目的とした従来のものづくりと違い、Industrie 4.0では生産ラインの一つひとつの機器や装置が頭脳を持つ。頭脳を持った機器や装置は、IoTで取得した情報を解析して最適な生産方法を判断し、自らの動作を制御する。それにより需要の変動に合わせた柔軟なものづくりが可能になるとされるのが、Industrie 4.0の代表的なイメージだ。取得する情報は工場内だけとは限らず、他社や市場などからのものも含まれ、設計から物流、販売までものづくりのバリューチェーン全体を最適化することも、Industrie 4.0が可能にする製造業の将来像とされる。

 情報をもとにした制御と自動化が一体化したIndustrie 4.0の世界では、それらを明確に線を引いて分けることができない。両者が融合し、個々にテーマを分けて展示会を開催する必要性が薄れてきたことが、SCFと計測展TOKYOを統合したIIFESが生まれた大きな理由だ。

前回2017年は「システム コントロール フェア(SCF)/計測展TOKYO」として開催。
今回は「IIFES 2019」として初めての開催となる。

IoTは具体的な活用のステージへ

 IIFESは「Innovative Industry Fair for E x E Solutions」の頭文字を取ったもの。「E」はElectrical、Electronic、EngineeringなどIIFESが関連する電機や計測、工業を表し、それが他のEの関連分野と掛け合わされてシナジー効果を起こすことで、新たな価値づくりにつながる策(Solutions)が得られる場という意味を込めているという。

 電機産業の業界団体である日本電機工業会(JEMA)と、制御機器の団体である日本電気制御機器工業会(NECA)、計測機器の団体の日本電気計測器工業会(JEMIMA)の3団体が共同で主催する。展示会コンセプトは、2017年のSCF/計測展TOKYOのものと同じ「オートメーションと計測の先端技術総合展」を踏襲する。300社・団体による出展と、6万人の来場者を見込んでいるという。いずれも2017年のSCF/計測展TOKYOの218社・団体、5万3243人の実績を大きく上回る規模になる。

 IIFES 2019のテーマは「日本発、MONODZUKURIが世界を加速する。」である。センサの多様化や小型化、ネットワークの高速化や解析機能の高度化などが可能にしたIoTは、産業分野に限らずコンシューマ分野でも多彩なアプリケーションを可能にしている。それらは新たな価値を次々生み出しているが、特に期待が大きい分野の一つが製造業だ。生産現場の機器や装置にセンサやカメラをつけ、そこから収集した情報を活用することで、製造業のさまざまな課題を解決できると期待されている。

 IoTのコンセプトが広く知られるようになってある程度の年月が経過したこともあり、センサからの情報の取得までは既に実装済みのところが多くなっている。しかしその情報をどのように活用すればよいかについては、まだ試行錯誤を繰り返しているところが多いのが実情だ。

 機器や装置の挙動を分析して故障を事前に予測し、大規模なシステム停止を防ぐとともにメンテナンスを計画的なものにする予兆保全は、IoTによる価値創造の典型的な例として知られており、具体的な事例も数多く登場している。しかしIoTの可能性は予兆保全だけにとどまるものではなく、ユーザの関心は早くも次のアプリケーションに移りつつある。そのユースケースを見せてくれる格好の場として、計測・制御と自動化が一体になったIIFESへの期待は大きく、IIFESの出展者もその期待に応えようとしている。

Connected Industriesの世界を提示

 IIFESがIoT活用の新たな軸として提示しようとしているのが、開催テーマにも含まれている「Connected Industries」の世界だ。

 Connected Industriesは政府が2017年春に国際見本市の場で提唱した概念で、製造業に限らずあらゆる産業分野をつなぎ、AIなども活用しながら新しい製品やサービスなど価値を創造しようという考え方。それにより労働力不足や高齢化、環境など社会が抱える問題の解決に取り組もうというものだ。5つの重点取組分野として、製造業を想定した「ものづくり・ロボティクス」のほかに、移動サービスの拡大や物流の効率化を目指す「自動走行・モビリティサービス」、医療の革新や新素材の創出を推進する「バイオ・素材」、工場や安全性向上やインフラ老朽化問題に挑む「プラント・インフラ不安」、少子高齢化の中でも労働力確保をはかるための「スマートライフ」が挙げられている。

 Connected Industriesでは、個々の業界がそれぞれ独自の発展を遂げてきたこれまでの時代と違い、業界の各要素が相互につながることで、従来実現することができなかった価値を創出する世界を示している。製造業は製造業の業界内だけを見ていれば課題が解決できるという時代ではなく、他の業界の最新動向も取り入れていくことが求められるというわけだ。実際、Connected Industriesのための具体的な活動の中には、産業全体でデータ共有を進めるために協調領域を定義しようというものや、横断的なデータのやり取りの中でも安全性を担保するための、サイバーセキュリティのガイドライン作成などが含まれている。

 製造業を中心に産業分野全般を対象とするIIFESは、Connected Industriesの世界を構成する要素を幅広くカバーする。それがIIFESの開催テーマにもConnected Industriesが含まれる理由だ。

 ベンダによる通常の展示に加えて、IIFESでは「主催者特別展示」として「Connected Industriesの現状と未来」も企画している。現状のユースケースを紹介するとともに、その先につながる近未来を予測するというもので、ユースケースは、「サプライヤ」「工場」「物流」といったバリューチェーンの個々の要素に焦点をあて、動画とパネル展示で紹介するという。

■IIFES 2019公式サイト
https://iifes.jp/