品質とともに基本的な課題である「生産性向上」ではロボットの活用、その中でもロボットと人間の協働がテーマの1つになるだろう。ロボットは人間では困難な作業を行う存在として、人間とは役割が切り離され、動作エリアも現場の作業者と明確に分けられている。しかしエリアを固定的に分けてしまうことは、スペース有効活用の面から効率的とは言えない。また作業によってはロボットだけで完結させず、人間が少しだけ手を貸す方が速い場合もある。そこでロボットと人間が協力して1つの仕事をこなすモデルの確立が求められている。

 ロボットと人間を一緒に作業させようとした場合、クリアしなければならないのは安全性の問題。高速で動き続ける鉄製のロボットアームが人間に衝突すると、大きな事故になりかねない。そこで人間の位置や動作を常にセンシングしながら、アームの動作範囲内に人間がいる時は自動停止するなど、ロボットが自らの動作を制御する必要がある。ここでもIoTが効果をもたらすと考えられており、ロボットと人間の協働でどのような作業が効率化できるかとともに、安全性確保の方法もチェックしておきたいテーマだ。

 省エネを推進するソリューションも展示されるだろう。電力などエネルギーを多く使う製造業は、長年にわたって省エネを進めてきた実績があるが、絶対的なエネルギー使用量を削減することが省エネではない。それを追求するならば、そもそも生産活動を行わなければいいという話になってしまうからだ。重要なのは生産量あたりのエネルギー使用量管理、いわゆる原単位管理とそれを指標とした省エネ活動の支援だ。

 原単位管理の実現には、生産量とエネルギー使用量のリアルタイムでの取得と突き合わせが必要になる。ベンダはここでもIoTによるセンシング技術を活用しており、具体的な原単位管理の仕組みと効果を見せてくれるはずだ。

 省エネ関連ではその他にも、ピークシフトや漏電監視を支援するソリューションが並ぶと期待される。ピークシフトは契約電力の引き下げを可能にし、コスト削減に大きな効果をもたらす。

ローカル5Gの可能性を紹介

 出展者による個々の展示のほかに、各種の企画展示も行われる。その一つが、IIFESを主催するJEMA、NECA、JEMIMAの3団体による連携企画「主催3工業会が描く未来像」だ。「電機・計測業界が描くMONODZUKURIの未来像と5Gの可能性」をテーマに、パネルディスカッションを行う。

 高速・低遅延が特徴の5Gのモバイルネットワークは、物理的なケーブルを新たに敷設したくない生産現場にとって、ネットワーク活用の有力な選択肢になり得る。実際に5Gを生産現場で活用するうえで有効とされる手法が、ユーザが自ら5Gの通信網を構築する「ローカル5G」だ。生産現場で通信が必要な場所を網羅できるように、通信エリアを最適化できるローカル5Gがどのような可能性を持っているか、パネルディスカッションの中で明らかになるだろう。

 JEMAの「製造業2030」やNECAの「5ZEROマニュファクチャリング」、JEMIMAの「IoTイノベーション推進委員会」といった3団体の提言や活動についても、最新の状況を紹介する予定だ。それぞれの詳細は、別のプログラムとして開催される「JEMA委員会セミナー」「NECAセミナー」「JEMIMA委員会セミナー」で詳細な説明が行われる。

 JEMA委員会セミナーには、つながるものづくりを目指して標準化活動などを進めるインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)や、国のロボット新戦略に基づきロボット活用の社会づくりに取り組むロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)の担当者も登壇。NECAセミナーでは、Q(品質)・C(生産性)・D(納期)・S(安全・セキュリティ)・MT(設備保全)の5つの領域で、NECAが定義した指標に基づく発展プロセスなどを紹介するとともに、制御機器に関する標準化活動についても説明する。JEMIMA委員会セミナーでは欧州の環境規制の最新動向などの情報を提供するという。

ローカル5G活用についてのパネルディスカッションのほか、産業用ネットワークの最新動向を紹介する「オープンネットワークゾーン」にも注目

ネットワークのオープン化進む

 ネットワーク関連の企画展示では、産業用ネットワークの11団体が共同で最新の機器や技術動向、サービスなどを紹介する「オープンネットワークゾーン」も興味深い。生産現場の機器や設備を結ぶネットワークは、オープンなEthernetベースのものが既に主流になっているが、リアルタイムの制御など生産現場で必要な機能をオープンな技術だけで実現することは難しく、完全にオープンなものとはなっていない。オープンとは言いながらも独自仕様が各ネットワーク規格に残っているため、工場を1つのネットワーク規格に対応させようとすると、現場の機器を入れ替えてすべて1つの規格に統一しなくてはならない。しかしそれはユーザにとって非現実的だ。

 そこで各オープンネットワークは相互接続性の確保に乗り出したり、リアルタイム制御を可能にする技術拡張に取り組むなど、一層のオープン化に勤しんでいる。オープンネットワークゾーンではそうした新たな取り組みが紹介されるだろう。ゾーン内の特設シアターでは、講演プログラムとして「なぜ産業用ネットワークが必要か?とその種類」「「IoTと産業用ネットワーク、そしていくつかのアプリケーション」「モーション用途の産業用ネットワークとは」「無線と産業用ネットワーク」「産業用ネットワークの新しい技術」の5本が予定されている。

 学術分野の企画展示「大学・高専テクニカルアカデミー研究発表」では、大学や高専の研究室による展示やプレゼンテーションが行われる。FAや計測・制御に加えて、IoTやAI、ロボットなどをテーマにした発表を、全国から参加の22の研究室が行い、優秀な研究については表彰するというものだ。IoTやAIなどICT分野の新しい技術は、機械の技術を突き詰めてきた製造現場の技術者だけでは取り組みにくい部分もあるため、製造現場が教育機関と手を組み、産学連携で新しいユースケースが作られることも少なくない。産学連携でどのようなものづくりが可能になるかを知ることができるイベントになるだろう。

 この他にも企画展示には、中堅・中小の製造業にフォーカスしてIoT活用のユースケースを紹介する「中堅・中小製造業IoTパーク」がある。「IoTデバイス」「プラットフォーム」「AI」の3つのカテゴリで、11社が事例を披露するとともに、ステージで詳細な内容をプレゼンテーションする。

■IIFES 2019公式サイト
https://iifes.jp/