フリーアドレス化が招いた、意外な混乱

 働き方改革の推進に当たり、重要なテーマの1つとなるのが「オフィス改革」だ。大手通信会社のNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、社員の働きやすさを高めると同時に顧客へのサービス提供にも生かすことができるオフィス改革に長年取り組んできた。

 中でも、多くの取り組みを進めてきたのが営業部門である。外回りの業務が多い営業担当者の利便性を考慮し、かねてモバイルデバイスや各種コミュニケーションツール、リモートオフィスサービスなどをフル活用することで、場所に依存しない働き方を実現してきた。

NTTコミュニケーションズ株式会社
第四営業本部
営業推進部門 第二グループ
担当課長
久野 陽平氏

 「一方、働く場所が流動的になったことで、既存のオフィスレイアウトが必ずしも最適ではなくなっていました。そこで、社員一人ひとりがより働きがいを感じられるオフィス環境を構築するため、大胆なレイアウト変更を行うことにしたのです」とNTT Comの久野 陽平氏は振り返る。

 各グループの代表者とのワークショップや管理職へのインタビューを重ね、自分たちが働きたい状態を実現するために必要な設備や機能などを抽出。こうして実現されたのが、「フリーアドレス」を基本とし、パーテーションなどのコミュニケーション阻害要因を極限まで取り除いたオープンな新オフィスだった。在席率が低下している営業担当者の個人デスクを撤廃し、コミュニケーションを分断していた書庫を極限まで削減。そのスペースをイベントスペースや顧客との協創空間、不足しがちなミーティングルームに充てた。また従来は2フロアにまたがっていた執務スペースを1フロアに統合することで、社員同士の対面コミュニケーションの活性化を狙った。

 ところが、このレイアウト変更後に実施した社員アンケートによって思わぬ課題が浮上した。それが、「話をしたい相手がどこにいるか分からない」というものだ。座席表もなくなったことで、誰が・どこにいるかを知る術がなくなり、「人を探す」という行為が、業務中に頻繁に必要になってしまったのだ。「この状況を早期に解消しなければ、社員の生産性が落ちてしまうと考えました」と久野氏は言う。

 実際、同様の課題を感じる企業は多いようだ。ある調査(※1)では、フリーアドレス制の導入で不安を感じる点に、「人を探すことに時間がかかる」を挙げた企業は58.5%を占めた。課題解決のヒントを、NTT Comの取り組みを基に考えてみよう。

※1 企業に就労するビジネスパーソン618名を対象に「働き方改革の取り組みに関する調査」をインターネットアンケートにて実施/2019年12月NTTコミュニケーションズ調べ

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