近未来のクルマは、既に現代のクルマに対応されはじめているCASE(Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electric)の4軸をさらに拡張する形で、進化していくことが確実である。かつて精密な機械の塊だった自動車は、電気/電子システムの塊へと変貌しつつあり、今では、利便性や快適性、環境性能の向上に向けた機構だけでなく、安全性の確保や走る・曲がる・止まるといった基本機能に関わる機構までが電子システムで制御されている。しかも、スマートフォンと同様にネットに常時接続し、車外の道路交通システムや管理システムなどと連動して走行するようにもなった(図1)。

図1●自動車における先端技術の導入と通信ネットワークの拡大
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マイクロフォーカスエンタープライズ株式会社
情報セキュリティ&ガバナンス
技術本部
シニアコンサルタント
矢野 達男 氏

 マイクロフォーカスエンタープライズ 情報セキュリティ&ガバナンス技術本部 シニアコンサルタントの矢野達男氏は「もはやクルマは、ネット端末の1つとも言えます。現在の情報システムが直面するサイバー攻撃の脅威を、同様に受けることになります。サイバーセキュリティ対策は必須です」と指摘する。実際、ネットに常時接続するクルマのハッキングが可能であり、搭乗者の生命を脅かす可能性があることを実証した例が多数報告されている。2013年にはトヨタ自動車の「プリウス」、2015年には米Chryslerの「チェロキー」、2016年には米Teslaの「Model S」と日産自動車の「リーフ」を対象にして、セキュリティの研究者が車載ソフトウエアの脆弱性を利用して車載機構の制御を乗っ取れることを実証した。

 クルマは、人の命を預かる機械である。サイバー攻撃を受けた際の被害は、パソコンやスマートフォンとは比べ物にならないほど深刻な状況を招く。そこで、「あらゆるクルマがサイバー攻撃の脅威にさらされる時代の到来を見据えて、車載セキュリティ規格の策定や法制化を推し進める動きが活発化しています」と世界有数の第三者認証機関であるスイスSGSの日本法人、SGSジャパン E&E Functional Safetyの河野喜一氏はいう。

SGSジャパン株式会社
E&E Functional Safety
プロジェクトマネージャー
河野 喜一 氏

 2020年末には、自動車向けのサイバーセキュリティ対策に関する国際標準規格である「ISO/SAE 21434」が発行される予定である。また、国際連合欧州経済委員会(UN-ECE) 自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の自動運転専門分科会(GRVA)は、ISO/SAE 21434を軸としたサイバーセキュリティ認証を自動車の型式認証に盛り込む予定である。端的に言えば、規格に準拠したサイバーセキュリティ認証を取得しないと、クルマを販売できなくなるということだ。世界中の自動車メーカーやサプライヤーは、いかなる取り組みを始めたらよいのだろうか。

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