テレワークの重要性を大きく変えた新型コロナ

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレワーク(在宅勤務)の導入機運が高まっている。中小企業でも、あわててDell XPSシリーズをはじめとしたノートPCを従業員に配布したという企業も少なくないだろう。ノートPCを配布することは、テレワークの前提条件とはなるものの、それだけでは不十分だ。テレワークを機能させるには業務プロセスやコミュニケーションの見直し、経営者・従業員双方の意識変革などが求められるからだ。そこで長年にわたり柔軟な働き方を推進してきたコンサルティング会社、テレワークマネジメントの田澤 由利氏に、中小企業におけるテレワーク導入のポイントを聞いた。

ここ数年、少子高齢化に伴う労働力不足、ライフスタイルの多様化などによってテレワークを導入する企業が増えてきました。昨今の感染症流行やそれに伴う在宅勤務要請などを受け、現在テレワークの考え方はどう変化しつつあるのでしょうか。

田澤氏:当たり前のことですが、テレワークは新型コロナ対策のためだけにあるのではありません。企業と従業員双方がいろいろなメリットを享受するための働き方のコンセプトです。しかし今回のことで、場所を選ばないはずのテレワークが「在宅勤務」だけにフォーカスされてしまった。これが今までとの大きな違いの1つです。また「一部の従業員」ではなく「全員」が、そしてこれから「長期にわたって続く」という2つの要素も加わりました。

株式会社テレワークマネジメント 代表取締役 田澤 由利(たざわ・ゆり)氏
北海道在住。上智大学卒業後、シャープ株式会社でパソコンの商品企画を担当していたが、出産と夫の転勤でやむなく退職。1998年、受託した業務を全国のスタッフで請け負うワイズスタッフを夫の転勤先の北海道北見市で設立。2008年にはテレワークマネジメントを設立し、企業などへのテレワーク導入支援や行政のテレワーク普及事業に取り組む。2015年 総務省「平成27年度情報化促進貢献個人等表彰」を受賞。2016年「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」個人賞受賞

 こうした状況が全国津々浦々、しかも大企業だけでなく中小企業も含めて求められてくることは今までありませんでした。我々が長年コンサルしてきた中では、いくらテレワークのメリットをお話ししても、「それは無理だから」「数名ずつ週1ぐらいで始めます」といった企業がほとんどでした。ところが今回のことで一気に多くの企業が取り組まざるを得なくなった。今は皆さん、様々な想定外の事態に直面されている状態だと思いますが、企業側もテレワークのメリットと問題点を同時に実感できるようになりました。今後、テレワークへの意識は大きく2つの方向に変化していくことが予想されます(図1)。

 1つは「満員電車に乗らなくても、在宅でこれくらい仕事ができる」「出勤者が減るならオフィス代も節約できる」と、テレワークをポジティブに捉え、積極的に導入していく方向。一方は「やはりできる仕事は限られてしまうから」と、以前のような会社出勤に戻そうとする方向。この二極化が進んでいくと思います。

図1●2つの分かれ道
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緊急下でテレワークの実践を余儀なくされた企業は今後、一定の成功体験をポジティブに捉え、次の時代へ進む企業と、“思うように仕事が進まなかった”というネガティブな捉え方で従来通りの業務運用に戻る企業に二極化される

 現状、テレワークによって多くの企業で生産性が落ちているのは当たり前です。なぜなら、まだ準備ができていなかったから。でも今回の体験を踏まえ、道具や制度、意識変革などの面でいろいろと工夫し、それらを回復していこうとするのが“Withコロナ”の時代では欠かせない要件になっていくのではないでしょうか。

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