SAP ERPのサポート終了が2027年に迫り、新しいERPへの更改を検討する企業が増えている。そうした中、グローバルにグループ経営を展開するエンタープライズ企業を中心に、既存のERPから財務・資金管理業務(トレジャリー業務)を切り離し、別のプラットフォームへ移行する動きもある。その理由は、どのようなところにあるのか?

 大手ERPベンダーのSAPは2020年2月、2006年に発売した「SAP ERP(ECC6.0)」のサポートサービス「メインストリームメンテナンス」の提供期間を2027年末へ延長すると発表した。SAPはERPの「20年保証」をうたっており、従来は2025年末にサポート終了を迎えるはずだった。それが2年間延長されたのには理由がある。SAP ERPのインテグレーションビジネスで国内トップのアビームコンサルティング 執行役員 下村雄吾氏は、「SAP ERPを導入している企業が一斉に更改しようとして、導入支援を行うベンダーの要員が不足し、移行に間に合わない企業が出てきたからだ」と指摘する。

 いずれにせよSAP ERPを導入している企業は、残すところあと7年のうちに「SAP S/4HANA」へ移行するか、別のERPを構築しなければならない。7年間も猶予があると感じるかもしれないが、企業の基幹業務システムとして機能するERPの更改はそう簡単な話ではない。同じSAPのS/4HANAに移行するにしてもライセンス形態が異なるし、関連システムとの連携部分も構築し直す必要がある。導入支援を委託したいベンダーのリソースが逼迫している状態ではなおさらだ。これが「SAP 2027年問題」と呼ばれる所以である。

 このような状況の中、従来のERPパッケージがカバーしきれなかった業務を外部のクラウドサービスでカバーする例が増えていると下村氏は話す。

 「かつてのERPは、企業の業務全体をカバーすることがコンセプトでした。しかし近年は基幹業務にフォーカスし、ERPがカバーしきれない領域は別の製品・サービスでカバーするようになっています。例えばSAPでも経費精算の『Concur』、調達・購買・サプライチェーン管理の『Ariba』などのクラウド専業ベンダーを買収して傘下に収め、ERPパッケージとは別のソリューションとして提供しています」

 またERPがサポートしている業務でも、専業ベンダーが提供するクラウドサービスのほうが機能やコストの面で優位性があるために、ERPとは別にするケースもある。そうした業務の一つとして挙げられるのが財務管理・資金管理などトレジャリー領域の業務だ。トレジャリー業務をERPから切り離すとどのようなメリットが得られるのだろうか。

アビームコンサルティング株式会社
執行役員 プリンシパル
P&T Digital ビジネスユニット
下村 雄吾氏
キリバ・ジャパン株式会社
営業本部ソリューション部
プリセールス ディレクター
キリバ・ジャパン ユーザグループ 常任理事
吉田 英樹氏

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。