この1~2年で進んできた在外子会社まで含むリース会計の統一
「在外子会社を含めて、IFRS(国際財務報告基準)で統一された基準でリース管理を行いたい」。このような要望を持つ日本企業が、この1~2年で急速に増えている。その背景には、2019年6月に公表された改正実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」の存在がある。この報告書には、2018年改正実務対応報告では検討対象から除かれていたリース会計についての言及があり、連結決算における在外子会社の会計基準統一が求められているからだ。
在外子会社も含む形でリース会計基準を統一するのであれば、既に国際的な標準となっており、強制適用が始まっているIFRS第16号(以下、IFRS16)を選択するのが合理的である。これなら在外子会社にも理解しやすいというメリットがあり、リース会計を在外子会社まで含めてIFRS16で統一していこうというのは、当然の流れだといえる。
その一方で、海外事業で利用している資産を最適化したいという要望も、2020年に入ってから増えつつある。単に海外へと積極的に進出するのではなく、場合によっては進出先の事業を縮退させ、投資効率を高めようという動きが始まっているのだ。
日本企業の海外進出では、店舗や工場などの不動産をリース契約で確保しているケースが一般的。IFRS16を適用した場合にはリース契約がオンバランス化されることになるが、これによってリースまで含めた海外資産の可視化を行い、その状況を把握するということも、重要な課題になっているのである。
既にIFRS16の強制適用から1年が経過しており、リース管理の重要性を再認識した企業は多い反面、この1年間で新たに顕在化した課題も少なくない。では具体的にどのような課題があり、それをどう解決すればいいのだろうか。