「仮想マシンのクラウドシフト」短期間での移行を進める秘訣は?
「2025年の崖」をどのように乗り越えるか――。これはあらゆる日本企業が避けて通れない課題である。主要アプローチの1つがシステムのクラウドシフトだ。インフラの運用や更改の負荷を軽減し、俊敏なビジネス展開を可能にする。取り組みに着手している企業は多いだろう。
長年利用してきたオンプレミス環境からクラウドに移行する際には、ミドルウエアなどのバージョンアップが必要になることが多いほか、IPアドレスの変更に伴いアプリケーション改修が必須になるケースも少なくないからだ。インフラ運用の方法も変わるため、クラウドを効果的に活用するには人材育成やプロセスの見直しなども必要になる。
また、クラウド化に伴い起こる変化や、発生するコストについては、社内のステークホルダーの理解と納得を得る必要もあるだろう。特に重要な業務については、移行時も作業は止められない、といった声が上がることは容易に想像がつく。
これらの問題をクリアし、クラウドシフトによって競争力を持つシステム環境を実現するにはどうすればよいのか。参考にしたいのが、ゼンリンデータコムの事例だ。
同社は、グループ企業であるゼンリンの地図データなどを活用して、多様なソリューションを提供する企業。コンシューマー向けモバイル地図サービスを提供する「モバイルサービス事業」、ビジネス向けの地図活用ソリューションを提案する「ネットサービス事業」や「IoTソリューション事業」、革新的なナビゲーションサービスを提供する「ITS事業」を展開している。従来、これらの事業を支えるシステムのインフラは約4200の仮想マシン(VM)で構成されており、その約半数がオンプレミスのサーバー上で動いていた。
同社は、この大量のVMのクラウドシフトを、短期間でどのように実現したのか。プロセスをみていくことで、成功のポイントを探ってみよう。