DXの推進で浮き彫りになったクラウド活用の課題とは
新たなデジタル体験を提供するビジネス環境づくりや、そこから得られた膨大なデータを洞察に結び付け、さらにビジネスにフィードバックする。こうしたデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは、これからの市場で勝ち残るために欠かせないものとなっている。
このサイクルを高速化できる基盤として、近年利用が拡大しているのがパブリッククラウド(以下、クラウド)だ。「クラウドファースト」という言葉が示すように、システム基盤としてクラウドを最初に検討する企業が増えているのだ。しかし、既に多くの企業は、パブリッククラウドだけでDXを推進するのは限界があることを痛感しているのではないだろうか。
その理由はいくつか考えられる。その中でまず注目すべきなのが、クラウドの導入に伴い運用プロセスの変更が必要になることだ。もちろんクラウドはインフラ部分の運用管理をクラウド事業者に任せられることから、運用簡素化という大きなメリットをもたらす。しかしそのメリットを最大限に引き出すには、個々のクラウドの特性を熟知した人材と、それぞれに最適化されたプロセスが必要となる、そのためのスキル習得やプロセス確立の時間・コストが、意外にかかってしまう。また、不十分な準備でクラウド化に踏み切ってしまえば、管理プロセスの「抜け漏れ」を生み出して、これがSLAやセキュリティの悪化につながるリスクもある。
その一方で、定常的(24時間365日)な稼働を前提とするシステムをクラウド化したことで、コストが予想外に跳ね上がってしまったというケースも珍しくない。さらに情報保護などのコンプライアンスの関係で、そもそもクラウドとは相性が悪いシステムも企業内には数多く存在している。
その結果、いったんクラウド化はしたものの、再度オンプレミスに戻されるシステムも少なくないようだ。ある調査によれば、このような経験をしたことのある企業は、77%に上っているという。
このような問題をどう解決すべきなのか。ここで提唱したいのが「クラウドファースト」から「クラウドスマート」への発想転換だ。その具体的な内容を、次ページ以降で紹介していきたい。