生産性向上とイノベーションの創出に効果が見込めるテレワーク

 コロナウイルスの拡大や、国からの在宅勤務要請などを受け、中小企業でもテレワークを検討する企業が増えている。働き方やデジタル化への変革に経営者はどのような意思を持って取り組めばいいのか。「Afterコロナに移行するこのタイミングこそが千載一遇のチャンス。中小企業がしっかりデジタル化を進めれば、様々なイノベーションが生まれてくる」と断言するのは、慶應義塾大学大学院教授 岸 博幸氏だ。その理由について話を聞いた。

コロナ禍や働き方改革の進展も含め、ここ数年でデジタル化の推進やテレワークへの移行が急務の課題となってきました。そこにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

岸氏 企業や個人が成長するためには、生産性を向上させ、イノベーションを創造することが必要です。その観点からいえば、毎日会社のオフィスへ通って仕事をすることが、それに寄与しているかと考えると、明らかに違うわけです。

 テレワークへの移行によってムダな通勤時間がなくなれば、それだけ可処分時間、自由に使える時間が増えます。この時間の活用法を一人ひとりが真剣に考え、仕事に集中できる時間を増やすことで、生産性やクリエイティビティの向上につながっていきます。

 逆にいうと、テレワークにおいて、パソコンにアクセスした時間で社員を管理するような方法は、まったく意味がありませんし愚の骨頂です。重要なのはパソコンの前に座っていた時間ではなく、最終的な仕事の成果ですから。

 そもそも人間がどんなときに斬新なアイデアを思いつくかというと、それは少なくともオフィスで仕事をしている最中ではありません。人によっては散歩しているとき、朝シャワーを浴びているとき、夜に布団へ入ったときかもしれません。いずれにせよ、仕事やスマートフォンをはじめとしたデジタル機器から離れ、何もしない時間が、脳に蓄積されたスキーマ(知識)を活性化させる意味ではすごく大切なのです。

 ですから仕事をする場をオフィスに限定せず、在宅でもコワーキングプレイスでも、あるいは休暇と仕事を兼ねたワーケーションでも、いろいろな場所で、時間の管理をある程度、個人に委ねることができるテレワークは、生産性やイノベーションの向上において非常にメリットがあると思います。

慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科教授
岸 博幸氏
一橋大学経済学部卒。86年、通商産業省(現・経済産業省)入省後、コロンビア大学経営大学院にてMBAを取得。以降、経済財政政策担当大臣、総務大臣などの政務秘書官を歴任する。06年経産省を退官。現在はエイベックス取締役、ポリシーウォッチ・ジャパン取締役などを兼任。テレビなどのメディア出演や全国での講演会などでも活躍中。

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