わずか6カ月で移行を完了したERPプロジェクト

 「2025年の崖」を越える上で、避けて通れない基幹系システムの見直し。「SAP ERP」のサポート期限は2027年まで2年延長されたが、その移行の難しさを考えると決して長くない。いずれは後継である「SAP S/4HANA」へ移行するか、ほかの選択肢を考える必要がある。

 ここで問題になるのが、これまでのようにアドオンをそのまま移行するには課題が多いということだ。SAP S/4HANAは従来のSAP ERP 6.0と構造が大きく異なっており、アドオンの調整が必須になる。また原則としてSAP S/4HANAではアドオンのような独自機能を外出しし、ERP標準機能をクリーンな状態にすることが推奨されている。そしてパブリッククラウド版のSAP S/4HANA Cloudでは、そもそもERP標準機能に手を入れることができない。

 この問題点を、自社開発の国内導入社数No.1※ RPAツール「WinActor」の活用によりクリアしたのが、NTTアドバンステクノロジ(以下、NTT-AT)だ。

 同社は従来、SAP ERPの利用に当たって約800に上るアドオンを抱えていた。2018年秋からSAP S/4HANA Cloudへの移行に着手、「Fit to Standard」を前提として、現行業務の徹底的な棚卸しを行った。その上で、日本固有の帳票類やNTTグループの業務形態に合わせるためどうしても必要な機能など、ERP標準機能での対応が難しい機能・処理を対象として、WinActorなどを用いて補完・自動処理する仕組みに移行した。「このような対応を行うことで、ERP標準機能に手を入れることなく、わずか6カ月という短期間で稼働開始までこぎつけることができました」と同社の都筑 純氏は語る。

NTTアドバンステクノロジ株式会社
Value Co-creation事業本部
DXイノベーションビジネスユニット
ビジネスユニット長
都筑 純氏

 また、SAP S/4HANA Cloudへの移行後に重要な役割を果たしたのが、WinActorの実行基盤となったHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)だ。本来ならばPC上で稼働するWinActorを、HCI上に用意した複数の仮想マシン上で稼働させた。システムに詳しい人なら、一聴して意外な感じがするかもしれないが、これがプロジェクトの安定運用・効率化のカギになったという。

 NTT-ATはどのようにこのアイデアを思い付き、実行に移したのか。また、HCI導入によるERPプロジェクトへの効果とは。次ページ以降で詳しく紹介する。

※ NTTアドバンステクノロジ調べ

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