経営改革を進めていた最中、コロナ禍に直面
新型コロナウイルスの感染対策に向け、業務をテレワークへ移行する企業が増えている。だが、現場作業がメインとなる製造業ではテレワークの導入が難しいとされており、工場の休止や生産性の低下を余儀なくされている企業が少なくない。その中で、早くからIT活用を積極的に進め、情報の見える化や共有を通じ、コロナ禍でも経常利益を拡大しているのが、正社員24人のダイヤ精機だ。社長を務める諏訪 貴子氏に、これからの中小モノづくり企業がチャレンジすべきデジタル変革への道筋を聞いた。
まずはダイヤ精機の事業内容と、ご自身の経歴についてお話しください。
諏訪氏 当社は、自動車メーカーや各種部品メーカー向けの金型・ゲージ・治工具の設計・製作・製造を行う一貫加工メーカーです。メインで作っているゲージは自動車生産ラインの品質管理上、欠かすことができない測定具で、1000分の1ミリ単位の精度が求められます。機械による切削だけでなく、職人が手元の感覚で精度を高める必要があります。
正社員の数は24人。うち5人が営業で、設計2人、事務1人、経理1人。残りは工場で働く工場員です。もともと私の父が1964年(昭和39年)に創業した会社ですが、2004年に病気で亡くなり、当時32歳だった私が急きょ2代目の社長に就任しました。そのころは90%以上が50代以上という逆ピラミッド型の年齢構成でしたが、若手の採用と熟練技術者によるOJTで技術継承を進め、2019年以降は20代、30代が過半数を占めるようになりました。
そういった経営改革を進めていた最中にコロナ禍に直面したわけですね。昨年の緊急事態宣言以降、事業継続に向けてテレワークなどの体制をどのように整えたのでしょうか。
諏訪氏 工場を持つ製造業ですので、一般の企業とは違って完全なテレワークへの移行は難しい。ただしできる限りのことはやろうということで、車で5分程度離れた場所にある本社工場と矢口工場の行き来を少なくしたり、部署間での移動や会議の回数を制限したりといった取り組みを行いました。結果的に現在まで社員の中から感染者は1人も出ていません。ただ、ある営業社員のご両親が一時期新型コロナウイルスに感染してしまい、その間は本人も濃厚接触者ということで自宅待機をしてもらったのですが、コミュニケーションツールを使ったテレワークで情報交換ができたので、業務が停滞するようなことはありませんでした。

諏訪 貴子氏