ITパートナーに“お任せ”ではDXは推進できない

 総務省が2021年7月に公開した「令和3年版情報通信白書」では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める際の課題として53.1%の企業が「人材不足」を挙げた。ちなみに「資金不足」を挙げた企業は26.9%と、人手不足の約半分。コロナ禍の影響による業績悪化で、DXに投資する体力を失っている企業が多いのかと思いきや、ヒトがネックになっているというわけだ。実際、このような状況に思い当たる企業は多いのではないだろうか。

 そもそも、既存のIT人材と「DX人材」では必要な資質が大きく異なる。ビジネスそのものを変革し、顧客に新たな価値を提供するには、システムやツールの知識と同じくらい、ビジネスの知識・経験が必要だからだ。また、外部のパートナー企業に“全部お任せ”という思想では、DXを推進することは難しい。パートナーの技術力や知見を自社のDX推進力に転換するには、時には技術領域にも踏み込んで意見交換が行えるような、デジタルリテラシーを備えた人材が社内に不可欠になる。求められる人材像を早急に見定め、育成に着手することが現在の日本企業に求められている。

 一方、他社に先駆けてこの状況を認識し、取り組みを進めている日本企業がある。それが、アサヒビールやアサヒ飲料などを傘下に持つアサヒグループホールディングス(以下、アサヒGHD)だ。

 同社は先ごろ、DX=BX(Business Transformation)であるという考えのもと、新価値を創造しビジネス変革を起こすためのValue Creation人材像を定義、新たな発想でアイデアを創出しかたちにする「クリエイティブ・ビジネス企画」コースとデータから新しい価値を生み出す「ビジネス・アナリスト」コースの育成プログラムを開始。希望者を募ったところ、想定の2.5倍以上の536⼈の応募が殺到し、急きょ、全員にプログラムを受講してもらうことにした。

 取り組みは現在も進行中だが、ここまで受講者のほぼ全員が、研修カリキュラムに対して高い満足度を示しているという。

 具体的に、同社はどのような研修をどういった方法で実施しているのか。アサヒGHDの取り組みを基に、DX人材育成のヒントを探る。

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