まだまだ多くのサーバー資産がオンプレミスに残っている
今やビジネスに不可欠なものとなったクラウド。テレワークの普及により急速に広がった、コミュニケーションツールなどのクラウドサービスの利用や、既存のシステムをクラウドに移行する動きも加速している。柔軟で俊敏なシステムを駆使し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す――。そんな企業が増えている。
ただ一方で、クラウドを「本格的に」活用できている日本企業はまだ少ないのが実情だ。
ある調査※1によれば、クラウドを利活用している企業のうち、サーバー資産の半分以上をクラウドに移行している企業は20%以下。つまり、大半のサーバー資産がクラウド化されず、まだオンプレミスで運用されているのである(図1)。(※1)出典:インターネットイニシアティブ(IIJ)「全国情シス実態調査 集計レポート」2021年7月
この状況を生んでいる要因の1つが、既存システムをパブリッククラウドへ移行することの難しさだ。
例えば、長年オンプレミスで利用してきたVMware環境を移行したいと考えても、パブリッククラウドの基盤がVMwareでなければ、基盤が変わることによる動作検証など、本質ではない部分で多くの工数を要する。あるいは、パブリッククラウドの基盤がVMwareでも、重要システムの移行には十分なスキルや知見が必要だ。これらが高い障壁となり、日本企業のシステムのクラウド移行を阻んでいるのである。
そんな中、これらの問題を解決する新たなクラウドサービスが登場し、注目を集めている。オンプレミスのVMware環境に手を加えることなく、“そのまま”移行できる上、プライベートクラウドよりも運用負荷がかからない。かつ、将来的なマルチクラウド活用の起点にもなるものだ。このサービスの内容や活用メリットについて、次ページ以降で詳しく紹介する。