日本の2拠点でより高可用、より低遅延な処理を

 企業や公共機関におけるクラウドの導入がますます加速している。ITインフラを「所有」せず「利用」できるメリットに加え、現在は機械学習やAI、IoTなどの最新デジタルテクノロジーを実装し、コンテナ仮想化技術への対応も進んでいる。柔軟性・信頼性・可用性の観点から、単なるITコスト削減の手段にとどまらず、基幹システムの基盤としてクラウドが使われるケースも増えた。今やクラウドはデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現になくてはならないインフラである。

 用途の広がりとともに、ユーザー企業が求める要求もシビアかつ多様化してきた。例えば、金融取引サービスや製造業の生産ラインのIoTデータ分析は、リアルタイムに近いレスポンスが求められる。ミリ秒単位の低レイテンシが必須要件だ。これを実現するテクノロジーとしてエッジコンピューティングの注目が高まっている。できるだけデータの発生場所、すなわちエッジで処理することで、ネットワークやデータセンターのサーバー負荷を減らし、レスポンスを向上させるわけだ。そのためにはエッジコンピューティング環境からできるだけ近いところにクラウド環境があることが望ましい。

 逆に一定の距離を持たせたい場合もある。災害に備えたディザスタリカバリ(DR)対策はその好例だ。物理的に離れたエリアにメインサイトとバックアップサイトを整備しなければならない。東日本の企業なら西日本に、西日本の企業なら東日本にバックアップサイトがあったほうが、システムやデータの可用性は向上する。

 ビジネス目的に応じて複数データセンター群を自由に使えることは、クラウドの重要な評価軸の1つである。AWSの「東京リージョン」の開設から10年を機に、こうしたニーズに応えるべく国内クラウドインフラの拡充を目的とした「大阪リージョン」が2021年3月に国内2つ目のリージョンとして正式オープン。AWSの選択肢が広がり、クラウドがより身近な存在になる。大阪リージョン開設が企業ビジネスに与えるインパクトとその価値について、次頁以降で考察していこう。

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