特定担当者の手作業に頼る工事精算業務の課題
多くの企業の経理部門において、会計システムは当然のように活用されている。ただ、経理業務の中で、システム化されていない分野もある。代表的な業務の1つが固定資産の計上だろう。
例えば、製造業における設備導入、小売業や飲食業における店舗の新設・修繕などの際、経理部門では工事精算の業務が発生する。企業規模が大きくなるほど、経理部門には工事精算業務の大きな負荷が集中する。ほとんどの企業では、こうした業務を担当者が手作業で処理しているのが実情だ。
工事業者とのやり取りは通常、次のようなプロセスで行われる。「見積」→「稟議」→「発注」→「着工」→「検収」→「請求」→「支払」→「稼働」。このプロセスの中で、経理部門は工事業者から見積書や請求書、工事明細書などを受け取ることになる。それらは、紙の帳票やExcel文書が大半を占めている。しかも、業者によって帳票のフォーマットは異なっている。その結果、様々な問題が生じている。
見積書や工事明細書を転記するのに時間がかかるし、ミスも起こりがちだ。また工事明細から固定資産に計上する業務特有の専門知識が必要なため、経理部門内の特定の担当者に業務が集中し、属人化が進んでいる。資産計上の種別に応じて耐用年数が異なる点や文書のフォーマットが業者ごとに違うこともあり、ある程度の経験を要するからだ。業務の引き継ぎが簡単ではないので、もしもその担当者が退職すれば、業務に大きな支障を来すだろう。
見積書や工事明細などの数が膨大なので、転記ミスなどをゼロにするのは困難だ。会計の正確性、ガバナンスという観点でも課題は大きい。監査対応の際には、エビデンス収集などにも時間がかかってしまう。
以上のような工事精算業務の課題をいかに解決するか――。現在では、AI-OCRのような紙文書をデータ化する技術も進化している。こうした技術を活用することで、大幅な効率化と業務品質の向上を実現することもできる。そんな解決アプローチを、次ページ以降で紹介する。