日本アニメの持続的な発展を目指してDXにチャレンジ
セガサミーグループの一員として、アニメーション作品を通じた感動体験を創造し続けるトムス・エンタテインメント(以下、トムス)。「ルパン三世」「それいけ!アンパンマン」「名探偵コナン」など国民的アニメ作品のほか、TVや劇場用映画、ネット配信やビデオ、遊技機用映像など多様なメディアに対応したアニメーションを企画・制作・提供する。
これに加え、累計440作品・エピソード数1万2000話を超えるライブラリーを軸に、IP(知的財産)創出などの映像ライセンスビジネスやマーチャンダイジングビジネスまでトータルかつグローバルに展開。「ア二メーションの総合プロデュース企業」として、日本のキラーコンテンツを世界へ発信している。
そのトムスが力を入れるのが“アニメSDGs”という取り組みだ。「10年先、20年先も日本のアニメが世界で輝き続けるよう、持続可能な日本アニメ産業の未来を創りたい。『作り方改革』『産業構造改革』『人づくり改革』を3本柱に、デジタルトランスフォーメーション(DX)をはじめとする新しい取り組みにチャレンジしています」とトムスの河瀬 彩紀氏は話す。

アニメ制作における工程管理のデジタル化はその一環だ。アニメーターの中には、紙とペンによるアナログな作業を好む人も多い。作品はデジタル化して管理するが、アナログな制作フローにマッチした工程管理は市販パッケージでは対応できない。
「現在はExcelベースの帳票で工程管理していますが、非効率で属人性も高い。社内スタッフだけでなく、フリーランスで活動する外部のアニメーターとコラボレーションすることも不可欠となっています。そのため、制作フローにはアナログの良さを残しつつ、工程管理をデジタル化する、独自の工程管理システムの内製を進めています」と河瀬氏は説明する。
DXに取り組むトムスのビジネスの中で、ITシステムは重要な役割を担う。しかし、そのインフラ管理には課題もあった。既存のIT環境は物理サーバー、SANスイッチ、共有ストレージによる3Tier構成で保守やリプレースの作業負荷が増大していたのだ。
「非生産的な作業ではなく、ビジネスに貢献する価値ある作業に多くのリソースを投入したい。そのためには既存システムのパフォーマンスを維持しつつ、保守やリプレースを含むトータルな運用の効率化が必須です。同時に煩雑なバックアップ作業の最適化と運用の安定化も実現したいと考えていました」と河瀬氏は課題を述べる。
そこで同社はサーバーのリプレースを機に既存インフラを刷新し、これらの課題を一気に解消した。次頁以降では、その仕組みと具体的なアプローチをみていきたい。