AIはもはや手の届かないものではない
いよいよビジネス実装フェーズに入ったAI(人工知能)。金融業界でのクレジットカード不正利用の検知、製造業での生産設備の予知保全、流通・小売業での需要予測など、様々な活用事例が登場している。
一方、「自社にはハードルが高い」「時期尚早だ」「コストがかかりすぎる」「データサイエンティストなどの人材がいない」といった理由で、二の足を踏んでいる企業も少なくないだろう。AIは既存のITと大きく仕組みが異なるテクノロジーであるがゆえ、気軽に着手しにくいというイメージの問題もそこにはある。
だが、今やAIは多くの企業が考える以上のスピードで「民主化」が進みつつある。高価なサーバーやソフトウエアを自前で用意しなくても、迅速かつ効率的に最新のAIを活用できるクラウドサービスが登場していることは、その代表例といえる。
このようなサービスをフル活用することで、ビジネス成果につなげる企業も登場している。一例が東急リバブルだ。従来、人の手や目を使って行ってきた建物外壁のクラック(ひび割れ)検査を、AIによる画像解析で自動化。クラック検出精度の向上と大幅な業務効率化につなげたほか、今後は検査サービス自体の外販も視野に入れて取り組みを進めている。
アナログなプロセスが多く残るといわれる不動産業界で、なぜ同社は一歩を踏み出すことができたのか。キーパーソンへの取材を基に、その理由を探る。