日立製作所では、APIを用いてシステムやプラットフォームを統合する基盤としてMuleSoftの「Anypoint Platform」を採用し、日立グループ全体で共有する「次世代ERP基盤」の開発を進めている。併せて、APIをグループ各社が開発しなくても再利用できるように、公開・提供していく取り組みにも着手し、エンタープライズITのあり方を「API主導」で大きく変容させようとしている。その狙いと期待する効果について、プロジェクト推進のキーパーソンに聞いた。

次世代ERP基盤の開発でAPI主導のアプローチを選択

 国内外に860社強※1の連結子会社を擁し、グループ全体で10兆円※2を売り上げる日立製作所。同社は現在、業務の自動化や予測型経営といったデジタルトランスフォーメーション(DX)による事業競争力の強化に貢献すべく、さまざまなグループIT施策を展開している。

 なかでも重点施策の1つに位置づけられているのがグループ共通の次世代ERP基盤の開発だ。きっかけは、日立グループ各社が個別に導入・運用を行ってきたERPシステム(SAP ERP 6.0)が2027年に保守期限を迎えることにある。

 同社では、それを機会に、コアのERPシステムを「SAP S/4HANA」へと切り替え、グループアプリケーションの集約・共有化を推し進めている。それととともに、グループ共通の「デジタル経営基盤」を整備して、継続的な成長・発展に資する「情報(経営情報)のリアルタイム共有」と「(M&Aなどにより)会社/事業ポートフォリオが拡大してもITコストが増大しない仕組み」の実現を目指していると、日立製作所 ITデジタル統括本部 黒沢和也氏は明かす。

 その重点施策を遂行する一手として、同社が採用した手法が、APIを介してアプリケーションやデータ、デバイスなどのすべてを相互につなぐ「API主導のアプローチ」だ。そのための環境として、SalesforceのMuleSoftが提供する統合プラットフォーム「Anypoint Platform」を2021年10月から活用している。日立製作所が開発を進めているグループ共通の次世代ERP基盤は、図1のような構造を成している。この図にあるとおり、次世代ERP基盤ではSAP S/4HANAがERPコアとして機能し、Anypoint Platformによって構築された統合API基盤を介して他の業務アプリケーションと連携する仕組みになっている。Anypoint Platformを使った次世代ERP基盤とは、果たしてどのようなものなのか。また、その開発によっていかなる効果が生まれるのか。

図1●日立製作所の次世代ERP基盤(デジタル経営基盤)のイメージ
図1●日立製作所の次世代ERP基盤(デジタル経営基盤)のイメージ
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(資料:株式会社日立製作所)

 次項にて、その疑問を解き明かしていく。

※1 株式会社日立製作所の連結子会社数:2021年12月末時点で865社
※2 株式会社日立製作所の連結売上高:2021年度(2022年3月期)で10兆2,464億円

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